アビスパ福岡 2試合連続逆転負け、上位進出へ正念場

MF見木友哉の豪快ゴールで
先制するも逆転負け

 9月13日(土)、明治安田生命J1リーグ第29節が行われ、12位のアビスパ福岡はホームのベスト電器スタジアムで、勝ち点差2の10位セレッソ大阪と対戦。勝てば順位が入れ替わる大事な一戦だ。

 大雨が降りしきるなか、前半の立ち上がりから両チームとも果敢に攻めるが、双方のキーパーの好セーブに阻まれ、なかなか得点をすることができない。均衡を破ったのは福岡。41分にMF名古新太郎がショートコーナーでDF橋本悠にボールをつなぎ、橋本からパスを受けたMF見木友哉がペナルティエリア外からグラウンダーの豪快なシュートを決めて先制する。得点につながるコーナーキックを獲得する直前の40分のプレーでは、名古とFD藤本一樹が続けてシュートを放つも、相手GKに阻まれゴールは決まらなかったが、スタンドから選手を後押しする大きな手拍子が沸き起こり、ここからすでに得点の予感はあった。ホームアドバンテージを感じる瞬間だった。

先制点を決めて雄叫びをあげる見木
先制点を決めて雄叫びをあげる見木

 良い流れのまま、前半を終えたい福岡だったが、スタジアム周辺に雷雲が発生。前半終了まで残り数十秒というタイミングで、安全を考慮して試合が一時中断。選手、スタッフ、観客はロッカールームや屋根の下に避難することになった。約45分後に試合は再開するも、1分ほどで前半が終了し、20分間のハーフタイムに入る。コンディションの維持など、難しい状況であったが、両チームともに条件は同じ。だが、想定外の展開を生かしきったのはC大阪だった。

 試合後の会見で、C大阪のパパス監督は「雷が流れをもってきた」と、中断時間とハーフタイムがチームの立て直しにプラスだったことを示唆。パパス監督が話す通り、福岡は後半の立ち上がりから徐々に押し込まれる場面が増え、54分に柴山昌也に決められ同点に追いつかれる。さらに64分、再び柴山にゴールを奪われ、逆転を許す。攻撃の手を緩めないC大阪は、福岡の守備のほころびを容赦なくパワーで攻め立て、77分と89分にはラファエル・ハットンに続けて決められ、1-4になる。

 3点差を抱えながら最後まであきらめない福岡は、試合終了間際の98分、名古のコーナーキックをFWウェリントンがヘッドで1点を返すが、万事休す。2-4で敗れた。

降格圏が迫り、上位進出へ正念場

 今季のリーグ戦も終盤に差し掛かり、最終順位6位を目標に掲げて上位進出を狙いたい福岡だが、前節の柏戦に続き先制しながら2試合連続の逆転負けを喫するなど、4試合勝ちなしと足踏み状態が続いている。残り9試合、上だけを見て戦いたいところだが、気付けば降格圏にいるチームとの勝ち点差はわずか11に迫っている。

 さらに、残り9試合のうち、6試合が福岡よりも下位との対戦になり、降格圏を脱出したいチームとの対戦も続く。ここで勝ち点を取りこぼせば、上位進出はおろか残留争いに引きずり込まれる可能性もある。まさに踏ん張りどころ、正念場だ。

 今節はチームの屋台骨を支えるMF松岡大起とDF安藤智哉の、警告累積による出場停止も響いたが、現在のチーム状況を察するに、故障と思われる離脱者も多く、今後も苦しい戦いを強いられることが予想される。

 故障から復帰したばかりのDF小田逸稀は「試合勘はトレーニングマッチや前節の柏戦でもしっかり対応できていたので不安はない。コンディション面も自分ではかなり戻っていると思っていたので90分プレーしたかったが、途中交代となったのは足りないところや不安要素があったからだと思うので、そこはしっかりと整えていきたい」と語った。

 故障明けの見木、小田、DF志知孝明の復調と活躍に期待しつつ、交代策の精度を上げながら今戦えるメンバーで戦っていくしかない。

右膝の半月板損傷から復帰した小田
右膝の半月板損傷から復帰した小田

クラブ創設30周年を彩る
「バリスペ」ユニフォーム着用

 今節のC大阪戦から、9月27日(土)サンフレッチェ広島戦、10月4日(土)横浜FC戦まで、アビスパ福岡創設30周年を記念した「バリスペシャルなデザインユニフォーム」、略して「バリスペ」のデザインユニフォームを着用する。バリスペユニフォームは、福岡・博多が誇る奉納神事である博多祇園山笠の法被をイメージしたデザインになっており、30周年の「30」も献上柄風に表現。博多祇園山笠振興会の公認を受けた“ホンモノ”の1着だ。

山笠の法被をイメージしたスペシャルユニフォームを着用
山笠の法被をイメージしたスペシャルユニフォームを着用

 横浜FC戦では歴代OBを招いたレジェンドマッチの開催や歴史を振り返る記念展など、さまざまなイベントが企画されている。

 記念イヤーとなる今年、OB選手をはじめとする多彩なゲストを招いてトークショーなどを開催している。C大阪戦の試合前には、福岡を応援していることで知られる福岡市出身のバリトン歌手・加耒(かく)徹さんによるチャント(応援歌)歌唱が披露された。加耒さんは、2021年と22年のホーム開幕戦で国歌独唱も務めており、イベントのゲスト出演は3年半ぶり。「久しぶりに選手入場前のピッチでチャントメドレーを歌わせていただき、特別な感情が湧き起こりました。本来はサポーターの皆さんで歌うものを、僭越ながら代表して歌わせていただきました。アビスパの美しいラブソングを、これからも多くの方が親しみをもって歌い継いでもらえたらうれしいです」と、加耒さん。

 30周年記念イヤーの今年、1つでも上の順位を目指して、クラブと選手、サポーターが一丸になる時だ。

【川添道子】

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