原発再考~放射線は遺伝子カッター
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2011年、東日本大震災が引き金となって福島第一原発事故が起きた。原発事故は国民的な議論を巻き起こしたが、その結論も出ぬまま、15年8月、川内原発1号機が、次いで10月には2号機が新規制基準を満たしたとして再稼働することになった。今一度、原発の問題点について考えてみたい。
原子力発電が問題視されるのは、放射線が生命に対する毒性をはらんでいるからだ。ウラン235に陽子がひとつ取り込まれると、原子が不安定になり、原子番号90番前後と140番前後の原子2つに分裂する。このとき、陽子が2、3個と、減った分の質量が熱エネルギーとして放出される。その熱で蒸気をつくりタービンを回して発電するのが原子力発電だ。
核分裂から生まれた新たな原子も分裂するウランと同じく不安定な状態にある場合が多い。それゆえ、安定を求めてさまざまなものを放射するのである。それが放射線だ。放射線はα線(ヘリウムの原子核)、β線(電子)、γ線(電磁波)に分けられ、それぞれ非常に小さな物質、あるいは波であるため、さまざまなモノを通り抜ける。
放射線が生命体を通り抜ける際、遺伝子の鎖を断ち切ってしまう。遺伝子を壊された細胞は細胞のコピーができなくなったり、ガン化してしまったりすることがある。原発は本質的に生命を危うくする可能性を秘めている。新規制基準に則れば、安全は確保されるのか。エネルギー政策の慎重なかじ取りを期待したい。関連記事
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