明日、安倍元首相銃撃事件の初公判~注目される旧統一教会の影響

奈良地方裁判所 イメージ

    安倍晋三元首相が2022年7月の参院選応援時に銃撃され、死亡した事件で、殺人罪や自宅で手製銃を製造したとする武器等製造法違反罪などで起訴された山上徹也被告の初公判が28日、奈良地裁で開かれる。

 この裁判で注目されるのは、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する解散命令のきっかけにもなった山上被告の母親による高額献金が家庭崩壊を招き、事件にどの程度影響したと認められるかである。

 25日に放送されたTBS『報道特集』では、山上被告の母親が「私の場合は、ちょっと考えずに(献金を)やり過ぎてしまった」と教団への献金が過剰であったことを認めたことを報じた。公判では、この母親も証人として出廷する。

 弁護側は被告人質問のほか、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士、山上被告と面会してきた宗教学者など、5人の証人尋問を通じて教団の影響を明らかにする方針である。

 一方、検察側は、「宗教との関係に踏み込むのは適切ではない」と考えており、事件を目撃した国会議員や遺体の解剖医、警備に従事した警察官など7人の証人尋問を通じて、殺意や犯行自体の悪質性を明らかにする方針だという。

 山上被告は、「当初来日していた教団トップ・韓鶴子総裁を狙ったが、警戒厳重のため断念した」と証言したとされる。安倍氏を狙った動機について、法廷でどのように説明するかが注目される。

 公判は裁判員裁判で審理され、19回にわたって行われる。29日から証人尋問、11月20日からは被告人尋問が5日間行われる。結審は12月18日を予定しており、来年1月21日に判決が言い渡される。

【近藤将勝】

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