全国508棟の立体駐車場「耐火屋根」不適合(福岡県52棟) 国交省が新明和工業へ指示
国土交通省は10月28日、新明和工業(株)(兵庫県)が供給した機械式立体駐車場の一部で、屋根の耐火構造が建築基準法に基づく国土交通大臣認定仕様に適合していなかったと公表した。新明和工業が16日に自主報告し、国交省の指示に基づく社内調査の結果、1994年12月から2025年7月までに供給した物件のうち計508棟で不適合が判明した。不適合内容は、折板屋根の固定方法や重ね部の緊結方法が認定仕様と異なっていた点である。火災時の延焼防止を担う屋根は、防火地域等では耐火性能を満たすことが義務付けられており、同社は速やかな改修等の実施方針を示した。
国交省は同社に対し、所有者等への丁寧な説明、特定行政庁等への報告、改修等の迅速な実施、原因究明と再発防止策の取りまとめ、相談窓口の設置を指示。併せて関係特定行政庁に物件リストを提供し、必要な対応を依頼した。さらに、同社供給物件以外でも認定仕様に適合しない屋根がある場合は、第三者機関で性能確認を行い、関係者へ説明のうえ必要な措置を講じるよう求めている。
不適合概要について、主な不適合は3点である。①折板屋根を支持するタイトフレームの板厚が、認定書で定める3.2mmに対し2.3mmと不足していた点。②タイトフレームの梁への固定方法が、本来は溶接固定であるところ、施工時の火災防止を理由としてビス固定に変更されていた点。③折板屋根の重ね部の締結ピッチが「900mm以下」との規定に反し、900mmを超える間隔で緊結されていた点である。
対象棟数の地域分布(下記表)を見ると、愛知県84棟、東京都73棟、大阪府73棟、福岡県52棟、神奈川県32棟が多い。都市部や大規模施設の多い地域で集中的に導入されてきた実態がうかがえる一方、東北・四国・九州各県にも広く分布しており、改修の進捗管理や行政との連携は広域的な対応が必要となる。改修は稼働中の駐車場で行うケースが想定され、工事期間中の代替駐車や安全確保、マンション・商業施設での利用者案内など、管理者には運用面の配慮も求められる。
<相談窓口>
(1)新明和工業(株) お客様センター
電話番号 0120-4951-24(24時間対応)
(2)(公財) 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(マンションの駐車場等に関する相談に限る)
電話番号 03-3556-5147
受付時間 午前10時~午後5時(土日、祝休日、年末年始12/27~1/4 を除く)
【松本悠子】









