17日閉会予定の臨時国会の会期末が近づくなか、補正予算の成立が焦点となる。政権与党から離脱した公明党の動向に注目が集まっているが、11日午前に行われた同党の会合で、2025年度補正予算案に賛成する方針が決まった。
公明は立憲民主党とともに中間層への物価高対策の不十分さを理由に予算の組み替え動議を共同で提出したが、衆議院予算委員会において動議は否決された。動議は来年3月までの電気・ガス料金補助の期間延長や現金給付など家計への支援を強化したうえで半導体や造船などの分野での成長投資を見直す内容であった。
公明党は、立憲と共同歩調を取る一方で、補正予算案に子ども1人あたり2万円の給付金などが盛り込まれたことを受けて、斉藤鉄夫公明党代表は「不十分な点もあるが、早く困っている方々に届ける必要がある」と賛成を決めた。なお、国民民主党も公明同様、補正予算案への賛成を決めている。これにより11日中に補正予算案は衆議院を通過し、参議院へと送られる。
補正予算案の一般会計総額は約18兆3,034億円に上る。このうち自治体に対する補助金はおこめ券などの配布を進める内容も含まれるが、全国の自治体や市民の間で「事業者への手数料がかかる」「国の対策はしょぼすぎる」など評判が芳しくない。
福岡市はおこめ券の配布を見送り、来年3月に福岡商工会議所などが販売を予定するプレミアム付き電子商品券「ネクスペイ」の発行支援に15億円を充てるほか、2カ月分の下水道料金の無料化に交付金を充当する。新潟市は、おこめ券ではなく、市民1人あたり3,000円の現金給付を行うなど、全国の自治体で対応が分かれている。
自民党は長年にわたり、業界団体に対する支援が中心で、国民1人ひとりへの直接支援に消極的であった。衆参両院で少数与党に転落したのは、企業団体優先への批判が高まったからであるが、体質改善は容易ではないようだ。
一方、公明や国民が補正予算案に賛成したのは、年明け以降の衆議院解散を含め政局を睨んだ思惑もあるが、立憲や共産党と同じ反対路線とみられたくないとの判断が大きいだろう。
【近藤将勝】








