安倍晋三元首相銃撃 山上徹也被告に無期懲役の判決~元信者の2世は統一教会を批判

 安倍晋三元首相(当時67歳)が2022年7月に奈良市内で参院選の応援演説中に銃撃され死亡した事件で起訴された山上徹也被告に対し、奈良地裁の裁判員裁判は21日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

 元首相が銃撃を受け亡くなるという前代未聞の事件を受け、事件の背景にある旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の献金や安倍氏をはじめ政治家とのつながりがクローズアップされた。現在、東京高裁において宗教法人法に基づく解散命令の審理が行われており、年度内にも解散の是非が出されるといわれている。教団の本拠地・韓国でも前政権との癒着について捜査当局の捜査が行われている。

 被告の境遇などから情状酌量を求める声も少なくないが、検察側は「社会変革のため暴力に訴えることは許されない」として無期懲役を求刑した。一方、弁護側は「最長で懲役20年にすべき」と主張が分かれていた。

 被告は25年10月の初公判で殺人罪の起訴内容を認めており、量刑が最大の争点だった。統一教会の信者である母親が信仰にのめりこみ、約1億円を教団に献金し、たびたび訪韓するなど家庭生活を顧みなかった被告の生い立ちをどのように見るかで検察側と弁護側の見解が対立。

 被告の手製銃が事件当時の銃刀法に照らし、規制対象に該当するのかどうかという点や、事件が私怨によるものか、政治的テロなのかなどの点も議論を呼んだ。

 弁護側は、教団による宗教被害の末に起きた事件だとして20年以下の懲役が相当だと主張。さらに事件当日、安倍氏が奈良ではない場所で応援演説を行っていたとすると、被告が銃撃を実行しなかった可能性もあり、当日の応援演説の警備が不十分だったことも重大な結果に結びついた側面があると警察の落ち度を指摘していた。

 一方、検察側は論告で、「極めて危険で、著しく悪質」と指摘。事件の1年半前から手製銃の製造を始め、性能を向上させていたことを「入念な準備に基づく極めて計画性の高い犯行である」と述べ、首相経験者に対する殺害は戦後初めてで、事件が極めて重大な結果、社会的影響をもたらした点も取り上げた。

 事件後、警察庁は都道府県警察と連携して「ローンオフェンダー」と呼ばれる組織に属さない思想犯・テロ行為を行いうる人物を想定した警護計画や対策に力を入れるようになった。

 無期懲役との判決を受けて、山上被告と同じく母親が現在も信者で多額の献金被害を受けた元信者の2世・Vtuberデビルさんは「山上被告だけが裁かれるのは納得がいかない」「統一教会は世界から駆逐されるべき存在」としたうえで「安倍さんは嫌いではないが、安倍元首相の責任も追及されるべきと思う」「教団に対する警察や司法行政の消極的姿勢に被害者は絶望してきたことは事実で、これで終わりにしてはいけない。きちんと事実に向き合うべきだ」とコメントした。

 今回の判決に対して「テロリストに甘すぎる」「死刑にすべき」など反発の声も上がっており、国内外において論議が続くことは間違いない。

【近藤将勝】

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