【読者投稿】高市自民圧勝と左翼ブロック崩壊

 NetIB-NEWSでは、読者のご意見を積極的に紹介し、議論の場を提供していきたい。
 今回は、2月8日に実施された第51回衆議院議員総選挙についての読者のご意見を紹介する。

 第51回総選挙は、自民党の歴史的な大勝利に終わった。左寄りの新聞は「高市自民ほくほく」と報じている。今回の選挙で、注目されるのは、日本共産党、れいわ新選組、社民党のいわゆる「左翼ブロック」の衰退だろう。若者は投票に行かないので、政治家は介護や年金といった高齢者向けの政策を訴えてきた。「シルバー民主主義」という言葉も生まれた。「高齢者に寄り添う」ことを強調する候補者も多かったが、国の将来を考え、実際に働いている世代に軸足を移す政治に転換したことで、左翼ブロックが苦戦したのではないか。また、「各選挙区に1万5,000票~2万票」といわれた公明党票が本当にあるのかという疑問も浮上している。

 「55年体制」は1955年に始まった。自民党は「公共工事」で、日本社会党は「社会保障」を掲げたが、ともに政府が資金を提供する「大きな政府」だった。日本の最高所得税率は現在、45%。日米英仏独の5カ国のなかでは平均的だが、地方税も含めると最も高額となる。「高負担の国」になっているのに、財政規律の議論は進展しない。少子高齢化に直面し、国の将来を考えると、高齢者に寄り添うだけで良いのだろうか。

 2024年の総選挙では、国民民主党が「手取りを増やそう」と訴えた。SNSを駆使したこともあって、「働く世代」の共感を呼び、議席を伸ばした。今回の総選挙では、大半の政党が消費税(※)減税を主張したが、議席を伸ばしたのは、消費税減税に反対、社会保険料の引き下げを訴えたチームみらいだった。

 「左翼ブロック」の公約は似通っている。れいわ新選組の大石晃子・共同代表は「消費税はさっさと廃止、国民1人あたり10万円の支給」と訴え、その財源を国債の発行で賄うとした。国民が苦しんでいるときに、財政規律どころではないだろうという主張のようだ。

 日本共産党は、消費税を5%にし、最終的には廃止を目指すとした。財源は大企業や富裕層への課税で、約46兆円の財源を確保すると訴えた。社民党も消費税率ゼロ、大企業の内部留保に課税、所得税と法人税の累進性を強化、低所得層への課税中止などを挙げていた。企業の内部留保は、税引き後の利益なので、二重課税ではないのか。企業の財務体質を弱める過剰な課税は、国際競争力を低下させる懸念もある。

 「左翼ブロック」の主張は、政府の介入、再配分で、格差をなくそうとの考えが基本にある。走るのが遅い子に配慮し、手をつないで一緒にゴールするのが「正しい運動会」と思っているのかしれない。運動会の時だけ「花形スター」になる子どもを認めたくないのだろう。悪しき平等主義とも言える「一緒にゴール」は都市伝説のようだが、徒競走で順位を示す旗を使わない「順位をつけない運動会」は存在していた。

 今回の選挙で、「左翼ブロック」の獲得議席数は、日本共産党が4、れいわ新選組が1、社民党がゼロだった。自民党が小選挙区で、東京、埼玉など計30都県で議席を独占したことから、南関東、東京、北陸信越、中国の各ブロックで、比例代表名簿に載った候補者全員が当選し、14議席を他党に譲っている。この「恩恵」を受けたのは、中道改革連合が6議席、国民民主党、日本維新の会、チームみらいが各2議席、参政党とれいわ新選組が各1議席だった。れいわ新選組は、この「恩恵」がなければ、ゼロのはずだった。この3党は何かあるたびに「民意」という言葉を振りかざすが、今回の選挙で、国民から「ノー」を突き付けられたとは言わないのが不思議でたまらない。

 踏まれてもついていくことから「下駄の雪」と揶揄されていた公明党は、自民党と袂を分かち、立憲民主党と新党を立ち上げた。小選挙区からの撤退を決めたのは、自民党の支援がなければ、小選挙区で勝ち上がることができないためだ。一方の立憲民主党。昨年12月の独自の世論調査で、大幅な議席減が分かり、小選挙区(289)で、1万5,000票から2万票をもつという公明票との連携に望みをつないだ。

 ここ20年ほどの衆院選・比例区の得票数をみると、公明党票が最も多かったのは2009年の805万票だ。2024年は596万票で、比例区の当選者は20人。1万5,000から2万というのは、小選挙区で割ったこの数字になるが、自民党の小選挙区の候補者が、「比例は公明党」と呼びかけた結果なので、割り引いて考えなくてはならない。

 公明党を支える創価学会の国内の会員数は公式には827万世帯となっているが、200~300万世帯まで縮小しているという研究者もいる。会員が知人らに入信を熱心に勧誘していた時期は1950年代から1960年代。選挙ともなれば、2人以上の知人を誘っていた会員も多かった。「フレンド票」と呼ばれていたが、高齢となった会員に以前のような選挙運動はできないことは、容易に推測できる。公明党は大きな政党に抱きつくことで、自らを大きく見せてきたといえよう。

 自民と別れ、中道の仮面をかぶってしまったので、本当の数字が判然としないが、弱者救済や平和を主張するだけでは、台湾有事や北朝鮮の核開発など厳しい国際情勢のなかで生き残っていくのは難しかろう。左翼ブロックの政党のように、何かといえば、税金をばらまくことはいい加減やめたほうが良いだろう。

 中道改革連合の新党結成会見は1月16日だった。会見に出席したのは、野田佳彦、斉藤鉄夫、安住淳、馬淵澄夫、西田実仁の5氏で、女性や若手がいなかったことからインターネットでは「5爺」と呼ばれた。結成したばかりの党の運営には「人脈が豊富な人や経験がある人が先頭に立ったほうがやりやすい」と考えたのかもしれないが、若者にアピールする力はなかった。

 記者会見で野田氏は「右にも左にも偏らない、ど真ん中の政治。生活者をど真ん中に据える」と説明した。左右でバランスを取るのなら、右が増えれば、右に寄り、左が多ければ左に傾くことになる。そもそも「中道」は、創価学会の第3代会長・故池田大作氏が主唱していた仏教用語で、生命哲学に基づく人間主義を指すのではないか。バランスを取るのではない。

 当初は小選挙区の協力とともに、比例区は両党から政治団体を立ち上げたうえで、統一比例名簿での擁立も検討されたようだが、公職選挙法上では別の政治団体となり、立憲民主党で立候補した小選挙区立候補者が、比例区との重複立候補ができないことから新党結成になった。有権者からは選挙目当てと見なされ、新しい党名は浸透しなかった。

 「公明と一緒になるならポスターをはがせ」と言われた候補者もいた。「なかみち(中道)さんって、だれですか」と聞かれた自民党関係者もいた。「政治とカネの問題も大切だが、否定やあらさがしだけの主張に説得力はない」という声も聞いた。公明党の支持者から「中道をよろしく」というメールは何度も来たが、小選挙区の候補者名がきたことはなかった。「立憲民主」や「公明」と書かれた無効票もあったはずだ。

 立憲民主党出身者ら208人が立候補したが、当選は小選挙区7人、比例区14人にとどまった。比例名簿の上位で優遇された公明党出身者28人は全員当選をはたし、党内に大きなしこりが残った。中道改革連合は野党第1党というものの、49議席では単独で内閣不信任案も提出できない。

 読売新聞が11日付の紙面で、衆院選についての世論調査結果を報じている。与党大勝の結果に、55%が「よかった」と回答したという。協調性が高く、集団主義的で、「空気を読む」という言葉のあるほどの国民性を考えると、野党がもう少し議席を取ったほうが良かったと考えるのではないかと思うが、それだけ野党の党首に魅力がなかったのだろう。新しい党首に小川淳也氏が就任したが、再建までの道筋は厳しいといわざるを得ない。

【S.T】

※消費税は1989年に初めて導入。豊かで安全な暮らしを支えるための基本的な税負担は、「国民ができる限り幅広く公平に分かち合うことが望ましい」という考えが基本にある。所得税、法人税とともに「基幹三税」と呼ばれる。1997年に5%、2014年に8%、2019年に10%(飲食料品や新聞は軽減税率適用で8%のまま)まで引き上げられた。国、地方を合わせた消費税収は34兆円の見通し。自民党の食料品の減税案では年間約5兆円が必要になる。

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