
多くの人が、「これからはAIを使いこなす会社が勝つ」と言います。これは、間違いではありません。AIによって、仕事のスピードも量も大きく変わりました。中小企業でも、これまで以上に高い生産性を出せる時代になっています。だから、AIを活用しない手はないと思います。
ただ、ここで面白いのは、AIが進歩するほど、ビジネスの世界では逆に“人間らしさ”が大事になることです。なぜなら、AIは便利で早くて、それなりに正しい答えを大量に出せるからです。今まで差別化になっていた「文章がうまい」「資料がそれっぽい」「情報をたくさん知っている」「要約が早い」──こうしたものは、AIによって一気に標準化されていきます。すると、「普通にうまくやる」だけでは差がつかなくなるわけです。
では、最後に何が残るのか。それが、哲学です。そして、人間味です。「自分たちは何のために仕事をしているのか」「誰を喜ばせたいのか」「何を大事にして、何をやらないのか」「儲かれば何でもいいのか、それとも譲れない価値観があるのか」──そういう会社や経営者の“軸”のことです。
AIは答えを出してくれます。でも、その答えを採用するかどうかを決めるのは、人間です。もっといえば、何を問いにするのかを決めるのも人間です。ここに、その会社の哲学が出ます。たとえば営業もそうです。AIを使えば、提案書は早くつくれます。業界分析もできるし、仮説も整理できます。でも、お客さまが本当はどこで困っているのか、言葉になっていない不安は何か、その先にいる顧客は何を求めているのか、そこまで想像して提案するのは人間の仕事です。表面的な要望に応えるだけなら、AIでも近づけます。でも、相手の商売や人生に踏み込んで、「だからこの提案なんです」と腹落ちするかたちにするには、人間の熱や解像度が必要です。
つまり、AI時代のビジネスは、作業をこなす人より、意味をつくる人が強いということです。人間味も同じです。効率だけを追えば、無駄な会話や遠回りな説明、ちょっとした気遣いは削られていきます。でも、実際の商売はそんなに単純ではありません。「この人だからお願いしたい」「この会社、なんか好きだな」「感じがいいよね」で決まることは、山ほどあります。そこには、ロジックだけではない信頼があります。
AIが進化すると、機能の差は縮まります。提案書も、言葉も、デザインも、ある程度まではみんな整ってくる。だから最後は、誰とやるかになる。AIを何のために使うのか。何を守り、何を変えるのか。そこがないと、ただ便利になっただけで終わります。AIが進化すればするほど、ビジネスで最後に問われるのは、哲学と人間味です。最先端を追いかけながらも、本質は見失わない。これからの時代こそ、そんな経営や仕事がより大事になると、私は思っています。
<プロフィール>
山本啓一
(やまもと・けいいち)
1973年生まれ。大学に5年在学し中退。フリーターを1年経験後、福岡で2年ほど芸人生活を送る。漫才・コントを学び舞台や数回テレビに出るがまったく売れずに引退。27歳で初就職し、過酷な飛び込み営業を経験。努力の末、入社3年後には社内トップとなる売上高1億円を達成。2004年、31歳でエンドライン(株)を創業。わずか2年半で年商1億2,000万円の会社に成長させる。「エッジの効いたアナログ販促」と「成果が見えるメディアサービス」でリアル店舗をモリアゲる「モリアゲアドバイザー」として、福岡を中心として全国にサービス展開中。

月刊まちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、建設・不動産業界に関すること、再開発に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
記事の企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は別途ご相談。
現在、業界に身を置いている方や趣味で建築、土木、設計、再開発に興味がある方なども大歓迎です。
また、業界経験のある方や研究者の方であれば、例えば下記のような記事企画も募集しております。
・よりよい建物をつくるために不要な法令
・まちの景観を美しくするために必要な規制
・芸術と都市開発の歴史
・日本の土木工事の歴史(連載企画)
ご応募いただける場合は、こちらまで。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。
(返信にお時間いただく可能性がございます)








