中央部に商店街「新長浜横丁」
昭和レトロなビル
中央区長浜にある昭和レトロな雰囲気が色濃く残るビルが現在、建替えに向けて動いている。
建替え対象となっているのは、福岡県住宅供給公社(以下、県公社)が所有する「福岡県住宅供給公社新長浜ビル」。那の津通りと長浜1449号線に挟まれるかたちで建っている地上5階建(一部地上2階建)の同ビルは、1階部分に店舗などが入るほか、2階以上は住居となっている。正確な竣工時期は不明だが、1960年頃とされており、すでに築65年以上は経過している模様だ。
同ビルの最大の特徴は、敷地内を南北に貫く1階中央部分の通路が、通称「新長浜横丁」と呼ばれる商店街となっている点だ。この新長浜横丁は、福岡市中央卸売市場鮮魚市場(長浜鮮魚市場)に近いという立地もあり、古くから寿司屋やそば屋、喫茶店などが軒を並べる隠れた飲食店街となっていた。ちなみに、同ビルから長浜1449号線を挟んだ北側の歩道部分は、夜になれば「長浜屋台街」として個性あふれる屋台が立ち並んでいる場所だ。
なお、時代の流れから、一時は次第に寂れつつあった新長浜横丁だが、2010年代に入って(株)DMX(福岡市中央区)が運営する「福岡R不動産」がテコ入れ。オシャレなアパレル系の店舗や雑貨店などが入居する横丁ストリートとして、息を吹き返したりもした。
老朽化で建替え決定 退去完了し、
売却先も決定
だが、築年数が経過してビルの老朽化が進行。耐震性や配管の更新の問題、エレベーターがないなどの設備面の問題もあって、県公社は新長浜ビルの建替えを決定した。
22年に、マンション建替法による敷地売却事業を開始。24年4月からは「新長浜団地建替事業に係る移転補償総合技術等業務委託」として、(株)旭鑑定補償(福岡市中央区)による借家人への説明および退去の交渉などが実施されていった。そして、25年5月には福岡市から「新長浜団地マンション敷地売却組合」の設立が認可。その後、県公社が売却先を探していた模様だ。
「新長浜ビルの住人やテナントの退去は、すでに完了しています。また、まだ公表はできないものの売却先はすでに決定しており、今後は売却先の意向によって、建替えが進められていく予定です」(県公社)。
現在、新長浜ビルには仮囲いがなされ、入口などが閉鎖されている。具体的なスケジュールは不明だが、今後はビル解体が行われ、建替えによって新たなビルへと刷新されていくだろう。新長浜ビルの所在地は、福岡市の都市計画による用途地域では商業地域(建ぺい率80%/容積率400%(那の津通りから30mの範囲は建ぺい率80%/容積率500%))にあたる。また、福岡市地下鉄・赤坂駅から徒歩約10分とアクセスも悪くなく、前述したようにすぐ近くには長浜鮮魚市場などもある。こうした立地から、新長浜ビルと同様に1階部分が商業店舗で2階以上が住居系という線や、あるいは福岡市の都心部で開発が相次いでいるホテル等の宿泊施設といった線が考えられる。
長浜ビル・港ビルは存続
長浜・港エリアの今後は──
ちなみに、新長浜ビルからわずか30mしか離れていない浜の町公園前交差点に面した場所には、同じく県公社所有の「長浜ビル・港ビル」がある。地上8階建の同ビルは、新長浜ビルと同様に1階部分に飲食店や理容店などの店舗が入り、2階部分に事務所、3階以上が住居となっている。ただし、新長浜ビルより古いと見られる同ビルだが、入居している店舗は現在も依然として営業を続けており、「長浜ビル・港ビルについては、現在のところ建替え計画などは進んでおらず、退去勧告なども行っておりません」(県公社)という。
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新長浜ビルが所在する中央区長浜および港エリアでは、今年2月に食品スーパー「ロピア」の福岡市内2号店となる「ロピア長浜店」が開業。また、“免振偽装マンション”という不名誉な呼称で知られた「カスタリア大濠ベイタワー」の跡地には現在、日鉄興和不動産(株)のマンションブランド「LIVIO(リビオ)」の立看板が設置されており、近く同地で新たなLIVIOマンションが開発されていきそうだ。本誌88号(25年9月末発刊)でも触れたように、長浜・港エリアに現在、開発の機運が訪れているようにも思われる。規模として大きくはないものの、今回の新長浜ビル建替えが、エリア内にさらなる開発機運をもたらす呼び水となることを期待したい。
【坂田憲治】

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