3月に公表された今年の地価公示は、引き続き福岡市内の全標準地291地点が前年比で上昇する結果となった。用途別平均変動率は、住宅地が7.0%、商業地が9.0%、工業地が11.3%、全用途平均は7.8%。上昇は続くものの上昇幅は縮小するトレンドが続いており、価格水準そのものは高まりながら、伸び率は落ち着きを見せ始めている。天神・博多が安定推移する一方、箱崎や姪浜、大橋、六本松~大濠といった周縁エリアの地価上昇が目立っている。
天神周辺
1位は不動のワンビル
価格順では、1,240万円/m2で天神1-11-1(ONE FUKUOKA BLDG.=ワンビル)が例年通り商業地1位となった。
3位は天神サザン通り沿いの天神2-7-6(DADAビル)で、718万円/m2。近隣の天神西通り沿いの狭小地が25年3月に売買されていたが、公示地価に勝るとも劣らない金額だったと聞かれる。
6位は地下鉄・赤坂駅から徒歩1分の大名2-6-36(あいおいニッセイ同和損保福岡大名ビル)で、481万円/m2。近隣では、オフィスビルや駐車場、賃貸マンションなど多くの物件が25年に売買された。8位は舞鶴1-1-10(天神シルバービル)の372万円/m2。この周辺も、ホテル開発用地や賃貸マンションなどが売買された。9位は国体道路沿いの西中洲1-11で、363万円/m2。西中洲1-11は上昇率でも7位(13.4%)となるなど、価格と上昇率の両面で目立つ存在となった。ならびのテナントビル2棟が24年4月に一括売買されたことは、記憶に新しい。西中洲アドレスは範囲が狭いものの、24年は大型テナントビル、25年も狭小店舗やテナントビル、アパートの売買が確認できている。
中央区のとくに商業地はすでに高価格帯であるため、上昇率は緩やかとなる傾向があるものの、市内の上昇率トップ10には2地点がラインクイン。西中洲(7位)以外にも、高砂2-10-12(プログレス高砂)が6位となった。日赤通りと百年橋通りが交差する「那の川四ツ角」に近い大通り沿い、平尾駅からも徒歩10分の立地。高砂アドレスは、住吉通りに近い1丁目ではホテル開発も検討される立地だが、百年橋通りに近い2丁目は賃貸マンションの開発用地としての取引が目立つ。
また、隣接する清川3丁目や那の川アドレスでも、近年は住宅を中心とした収益物件や開発用地の売買が活発化している。日赤通り沿いでは、27年8月の竣工予定で、(株)タカラレーベンと積水化学工業(株)が分譲マンション・レーベン平尾ハイムスイート(145戸)の開発を進めている。
大橋駅周辺
住宅の開発・売買活発
住宅地2位の大楠3-26-10は、前年比12.0%の上昇となった。同地は西鉄・高宮駅から徒歩5分、市立高宮中学校に近い立地で、周辺ではマンションデベロッパー・(株)アライアンスが25年に開発用地を取得済み。今後は、分譲マンション開発を検討していくと見られる。平尾駅から日赤病院までの大楠2丁目アドレスでは、開発用地や賃貸マンションの売買も活発に行われている。
南区全体の住宅地平均変動率は6.8%、商業地は8.3%で、前年から上昇幅は縮小したものの、高宮駅周辺、大橋駅周辺を中心に地価上昇が続く。大橋駅から徒歩5分の大橋2-19-3(メヌエット大橋駅前)は、11.5%の上昇となった。大橋アドレスでも、より駅に近い1丁目アドレスでは25年、(株)カシムラホールディングスが賃貸マンションを取得したほか、多くの売買が確認できた。また、今年1月には、アライアンスの親会社・(株)アライアンスホールディングスも賃貸マンションを取得。大橋駅から徒歩3分ほどの立地で、いずれ分譲マンションとして開発されていくとみられる。
また、大橋駅の北側、徒歩6分の塩原3-16-13も9.5%の上昇となった。JR竹下駅までも徒歩11分、ららぽーと福岡にも近い立地。塩原アドレスも、開発用地としての売買が活発化しているエリアである。
大橋エリアは、駅前の商業機能そのものより、生活利便性と都心近接性を織り込んだ住宅需要の強さが、相場を押し上げている構図となっている。
姪浜駅周辺と西区
波及効果が顕著に
市内7区で全用途(8.6%)、住宅地(7.9%)、商業地(12.4%)いずれも最大の上昇となったのが西区だ。商業地は前年の11.2%から12.4%へと上昇率が加速した唯一の区となった。とりわけ姪浜駅周辺だ。住宅地の上昇率3位(11.9%)には、地下鉄・姪浜駅から徒歩6分の姪の浜5-4-15(エスポワール姪浜)。商業地4位(14.0%)には、姪浜駅南1-6-19(志お多ビル)がランクインするなど、いずれも存在感を示した。
商業地2位(14.7%)と市内トップクラスの伸びを示したのが、JR九大学研都市駅から徒歩2分の北原1-7-5(ジュネス伊都)。同じく九大学研都市駅近くの西都2-19-6も8.9%と大きな伸びを示した。
(つづく)
【永上隼人】

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