事実誤認の中傷に抗議、行橋市議が「言論弾圧」と拡散
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事実確認なしで拡散
事実確認もなしでなされた民間企業に対するインターネット上の中傷を、結果的に、現役の地方議員が自身のホームページで拡散してしまうという異常事態が起きている。
世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として注目を集める長崎市端島(通称「軍艦島」)。ネット上で中傷を受けているのは、「軍艦島上陸見学ツアー」を運営している(株)ユニバーサルワーカーズ(以下、U社)。U社は昨年12月1日12時40分頃、SNS(facebook)に投稿された、長崎市在住の会社役員A氏の記事(以下、当該記事)で、「在日の会社」として紹介され、ツアーのガイドやホームページ(HP)の内容に関する批判を受けた。
しかし、U社の経営者は日本国籍を有しており、外国資本も入っていない日本企業。U社は、A氏からの事実確認を受けておらず、何をもって「在日の会社」と書かれたのか、大いに困惑しているという。さらに、当該記事でA氏が問題視している端島における朝鮮人や中国人の強制連行に関しても「(ガイドで)間違った歴史観を話すことはなく、他国と日本が検証しあって正式に納得した結果が出てくる以外は断固として一方的な行動に対して防御を貫いている」などと異論があるとしている。当該記事では、A氏が直接的にU社のガイドの内容を確認したくだりは見受けられない。
U社はA氏に対し、当該記事の削除および謝罪および訂正、また、当該記事をもとに抗議電話などの実害を受けているとして損害賠償を求める方針だ。一方、A氏は、「継続中の案件のため、答えられない」などとして取材を拒否した。
そして、このU社とA氏のトラブルを、福岡県行橋市の小坪慎也(こつぼ・しんや)市議会議員がネット上で紹介。A氏の知人という小坪市議は、自身のHPで、「強制連行と説明するガイド?」「保守への言論弾圧」「許せなかったらシェア」「拡散希望記事」などとして、U社が削除・訂正を求めていない当該記事以外のA氏の記事までも引用し、「言論弾圧」と批判した(関連リンク参照)。
発言力のある公人として情報発信には慎重を期すべきはずだが、U社によると、小坪市議もA氏と同じく、U社に対して事実確認を行っていないという。もっともA氏の一連の投稿に目を通しているのなら、当該記事を把握することは難しくない。A氏の記事に添付されているU社の「通知書」には、当該記事の掲載日時を「12月1日12時40分頃」と特定しているからだ。
小坪市議は取材に対し、通知書についてA氏に確認はしたものの、U社に対しては確認をまったく行っていないことを認めたうえで、「(A氏が)在日の会社と決めつけている点にはまったく賛同していない」「(記事は)A氏が投稿した内容について苦言を呈する意味もあった。ただし、投稿全体の内容に削除を求めるのは言論の弾圧と感じた」などとコメントした。
当該記事以外のA氏の記事を併記した件については、「混同を避けるため、よりわかりやすい表現に『追記』をもって改める」として、「こちらも遠因となった可能性も否定できない」などと赤字で追記を行った。なお、この「追記」が行われたA氏の記事は、「軍艦島をDisるプロパガンダ動画(閲覧注意)」というタイトル。U社に直接関係する文や表現は含まれていない。
【山下 康太】
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