自然体の経営姿勢での『良い水創り、人財創り』
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ゼオライト(株) 代表取締役会長 河村 恭輔
代表取締役社長 河村 勝美水のトップカンパニーとして
「良い水創り、人財創り」を経営理念として、水創り一筋に研鑽を重ね、地域を始め多くの人々のお役に立ち、喜ばれてきたゼオライト(株)。1970年の設立以来、46年間、現会長で工学博士の河村恭輔氏と現社長の河村勝美氏の夫婦二人三脚で、水創りの事業を展開してきた。そして常に現状に満足することなく、恭輔会長、勝美社長が先頭に立って、日々顧客の満足度を高めるための技術およびサービスの研究と開発を行ってきたからこそ、今日の同社の位置付けがある。
同社の事業は3本の柱で形成されている。1番目は「プラント事業」。逆浸透膜による水処理技術を生かしたプラントを建設する事業である。井戸を掘削し地下水を浄化処理することで、良質・安心・安全な水を供給するほか、災害対策・ライフラインの確保につながる。また同時に、安心・安全な水の供給、並びに水道料金の経費削減を実現する。現在は、日本中の公共施設や病院、ホテル、工場など1,000カ所以上で活用されている。
2番目は「メンテナンス事業」。同社で導入したプラントなどの装置の点検から薬品の補給までの水処理システム全般を、総合的にメンテナンスする事業である。全国各地に拠点を有しており24時間365日、顧客が安心して安全な水が利用できるインフラを支える事業となっている。
3番目は「浄水器・宅配水事業」。小型の逆浸透膜を用いた家庭用・業務用の浄水・純水装置を開発・製造・販売している。新商品の『クリスタルロゼット』はグラスの白濁や水班を取り除ける純水製造装置として結婚式場やホテルの経費削減に役立っている。また、ミネラルウォーター『わかみず』を自宅やオフィスに届ける飲用水の宅配事業を行っている。以上、同社の3本の事業形成のなかで、代表的な逆浸透膜を使った水処理技術は、極めて100%に近い確率で不純物を取り除けるという、同社の代名詞的な存在である。この技術を駆使したプラントの設計から施工・保守管理までを、同社は顧客の要望に応じて一手に引き受けている。同社のこの技術力は高く評価されており、九州を代表する我が国の水分野のトップカンパニーとして、今も進化・発展しているのだ。
同社の高い技術力を示すエピソードとして、2005年3月に発生した福岡県西方沖地震の際には、県内各所で大きな被害が出たなかで、同社が設置していた市内近郊200カ所のプラントは問題もなく稼働。また、11年の東日本大震災が発生した際、同社の顧客である大手製パンの仙台工場も被災し、同工場は竣工式を目前に、地震と大津波の被害を受けた。だが、あの甚大な災害規模でも同社が提供した設備自体は大きな被害を受けず、地元の方々の協力もあって、震災発生後2カ月で工場の復旧に取りかかることができた。これにより同年8月に試運転、9月に工場の稼働スタートにつながった。茨城県内の某大学病院では、震災時に水道が断水したのだが、同社の井戸水浄水装置の稼働により、病院の断水を免れた。これらのエピソードはほんの一部で、常に安全で安心な水の供給ができるソフトとハードを兼ね備えていることで、緊急時にも磐石であることがわかる。
さらに同社は過去30年間で、逆浸透膜の井水浄水装置を約600基導入した。6万㎥/日の水道水に代わる飲料水などを稼働させ、メンテナンスを行っている。水道料金の削減額としては、平均的に100円/㎥の削減として、年間約20億円の節約に貢献する。これら同社の提供する優れた水処理の環境は、日々、企業活動や人々の日常生活に対しての多大な貢献を行っている。
今後の事業の展開としては、「これからの時代は逆浸透膜での『造水』ではなく、『再利用』です。オランダ製の膜を購入し、現在、ある工場の排水処理で導入しています」と勝美社長は語る。一方の恭輔会長も、新たな事業展開については、「福岡は全国的に見ても水道代が高く、我が社の技術を利用することで、より良い水を得ることができるほか、大幅にコスト削減も行えたことが躍進の理由でした。しかし、東京の市場は福岡のようにはいきません。東京の地下水はかなりあるのですが、揚水規制があって井戸が掘れない地域があるほか、沼地が多く福岡とは地質が違うため、アンモニアなどの成分のほか、不純物を含めて、今まで経験したことがない問題に直面しています。そのためにも、新しい技術の開発を進めています」と語り、さらなる技術力の改革を強化し実践していく決意だ。
時流に沿った経営体制
同社は現在、福岡を拠点に福岡県を拠点に、東京、名古屋、大阪に支店、北九州、熊本、長崎、大分、岡山に営業所を持つ。事業を拡大している当初、大阪や東京からの仕事のオファーは、福岡・九州の顧客より要求が高く、厳しいものであったという。そこでしばらくは恭輔会長が自ら出向いて、顧客の要求に対応し解決してきた。
しかし、いつまでも恭輔会長自身が課題解決の陣頭指揮に立っても「組織は成長しないだろう」ということで、ある関西方面の大手の顧客の問題解決を社員に一任した。社員らは、不眠不休を続けながらもその顧客の問題を解決。そのことで一体感が増し、厳しい顧客からの要求に対して応えられる、現場で鍛えられた経験を積み上げることで、同社の体制が強化・進化してきている。現在、全国に顧客を持つ同社。15年から20年来の顧客も多数を占めており、それらの顧客のフォローに時期に来ているという。同社の事業の柱の1つである「メンテナンス事業」は、業界内でもピカイチだ。「水を通じてのお客さまとの長年のお付き合いが、私たちの使命です」(勝美社長)と述べる通り、同社の長年の既存の顧客のフォローを強化していく。
一方で、プラント事業の年間現場数は数年前までは30カ所程度だったものが、現在は60カ所以上となっている。現場の数は倍に増えているが、遠方などの案件が増えたことで、単純に売上が倍増しているわけではない。今まで以上に、現場では効率化が求められているのだ。「会社の売上が上がれば、雇用も増えます。ですが、人件費が上がれば、今度は利益を圧迫させます。仕事の効率化を図ることが、これからの課題です」(勝美社長)。これらを鑑みて、今後の事業を推進する体制においては、『アメーバ経営』を実践していく方針である。それは、人員を5~10人の小集団(=アメーバ)に組織。アメーバごとに、時間当たり採算=(売上−経費)÷労働時間を算出し、時間当たり採算の最大化を図る。時間当たり採算の目標値を月次、年次で策定し、労働時間短縮や売上増加策を実行に移して目標達成を実践していく。要するに、効率的な採算性を意識しながら仕事に従事することを社員に対して徹底していくことで、独立的な志向での仕事づくりのマネジメントを実践していく方針だ。現況の同社の環境を見ると、時流に沿った体制であろう。
世の中に最高の水を提供するために、人生を捧げてきた恭輔会長と勝美社長。「水を通じて世の中にお役に立ち貢献したい」という崇高な志は、社員に、そして同社の顧客に伝わり浸透しており、それがますます進化・発展して現在に至る。自社の使命・目的である「社員さんの幸せとその家族の幸せの追求」を実現するため健全な経営を続け100年企業を目指してさらなる社会貢献を期待している。
<COMPANY INFORMATION>
ゼオライト(株)
代表取締役会長:河村 恭輔
代表取締役社長:河村 勝美
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
TEL:092-441-0793
URL:http://www.zeolite.co.jp<プロフィール>
河村 恭輔(かわむら きょうすけ)
1934年8月、山口県出身。大島商船高等専門学校卒。工学博士。日刊工業新聞社主催の優秀経営者顕彰である「地域社会貢献賞」を受賞。趣味はゴルフと読書。河村 勝美(かわむら かつみ)
1943年10月、広島県出身。広島県立瀬戸田高校卒。趣味は、生花、自然散策、絵画。法人名
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