アビスパ福岡、新開幕で王者・神戸に惜敗 課題は次への糧に

明治安田Jリーグ第1節のスタメン
明治安田Jリーグ第1節のスタメン

春開幕から夏開幕へ。
新開幕に1万7,538人が来場

 世界の主要リーグに合わせるかたちで秋春制へ移行したJリーグが、初めての「新開幕」を迎えた。8月8日に行われた明治安田J1リーグ第1節で、アビスパ福岡はホームにヴィッセル神戸を迎えた。神戸は、直前まで行われていた明治安田J1百年構想リーグを制した王者。新シーズンの幕開けにふさわしい強敵との対戦に、福岡の開幕戦としては過去最多となる1万7,538人もの観客が来場した。

開幕戦最多の1万7,538人が来場
開幕戦最多の1万7,538人が来場

 試合は立ち上がり直後から福岡が積極的な姿勢を見せた。最終ラインから前線へロングボールを送り、新加入のFWウェリック・ポポにボールを集める。福岡の選手たちは球際にも激しくぶつかり、まずは前へ出ようとする意識が随所に表れた。

 しかし、なかなか決定機をつくれず、攻撃はやや単調に…。複数の選手が連動して相手の守備を崩していくというより、個人の突破力やロングボールから局面を打開する場面が目立つようになる。一方で神戸は、福岡の狙いに細かく対応しながらこぼれ球を拾い、1つ1つのプレーを丁寧につなぎ、福岡のゴールを狙う。

 そして前半23分、福岡のファウルスローで得たスローインをつながれ、神戸のFW大迫勇也に先制点を決められる。失点について、塚原真也監督は「警戒をしていたセットプレー。ロングスローを入れられ、もっとも注意をしなければいけない選手に決められてしまった」と振り返った。

 1点差のまま後半に入り、押し込まれ気味の福岡は59分に新加入のFW師岡柊生、67分にMF橋本悠とMF前田快(こころ)、80分にFW佐藤颯之介とFW武本匠平を投入。選手交代をきっかけに、前への推進力が増し、神戸陣内でプレーする時間が増え、攻撃のテンポが上がり再び流れを引き寄せていく。ゴールへの期待が高まるが「最後の一刺し」が決まらず、新シーズンの初戦は0-1で敗戦となった。

 今季は百年構想リーグで監督代行としてチームを率いた塚原真也氏が正式に監督へ就任し、福岡にとっては新体制で臨む最初の試合で勝点を得られなかった事実は重い。しかし、シーズンのスタートで百年構想リーグ王者を相手に強度の高い真剣勝負ができたことは、長いリーグ戦を戦う上では決してマイナスばかりではないだろう。決定力、攻撃の連携、プレーの精度など、勝つために何を高めなければならないのかが、開幕戦からはっきりと示された。トレーニングだけでは見えにくい課題が浮き彫りになったことをプラスに捉えて、次の15日のセレッソ大阪戦へ挑みたい。

新戦力のポポ、師岡、
そして武本に膨らむ期待

 新シーズンの開幕戦では、新たに加わった選手たちのプレーにも注目が集まった。

 ファジアーノ岡山から加入したポポは、強靱なフィジカルとスピードが魅力だ。開幕戦では福岡の攻撃がロングボールや個人での打開に頼る場面も見られただけに、前線で起点をつくり、味方が押し上げる時間を生み出せるポポの存在は貴重だ。周囲との連係が深まり、その強さと速さをチームとして生かせるようになれば、攻撃の選択肢はさらに広がっていくだろう。安定したスタミナと裏に抜けるスピードも大きな武器になりそうだ。

 鹿島アントラーズから加入した師岡は巧みなボールコントロールと技術で相手をかわし、チャンスを演出。ゴールへ向かう積極的なプレーでスタンドを沸かせた。試合後の取材で「周りの選手が何ができるのか、そして自分も何をできるのかを知ってもらう必要がある」と話したように、加入から間もない今は、互いの特徴を理解していく段階でもある。それでも個の力で局面を動かせることは、この一戦でも十分に示した。チームメートとの理解が深まったとき、その技術がどのような攻撃を生み出すのか楽しみだ。

 そして、この日ひときわ大きな歓声でピッチに送り出されたのはFW武本匠平だった。福岡のアカデミー所属で、昨年プロ契約を結んだ現役高校生。トップチームの公式戦初出場となった若きストライカーだ。

 武本には試合前から大きな刺激があったという。前日の7日に行われた横浜F・マリノス対鹿島アントラーズで、横浜FMの16歳・三井寺眞と鹿島の18歳・吉田湊海の同世代の2人が活躍する姿を目にし、「自分も」という思いを強くした。武本は開幕戦でメンバー入りするもののベンチスタートとなり、与えられた時間は15分ほどと決して長くなかった。「プレー時間は少なかったけど、とても楽しかった」。その言葉には、悔しさ以上にトップチームでプレーできた喜びがにじんでいた。

 しかし、そう話した直後「もっと試合に出たい、もっといいプレーをしたいという欲が出てきた。世界で通用する選手になるためには、まずJリーグでコンスタントに活躍しなければいけない。18歳という年齢も特別ではないと思っている。今はまだメンバーに入れるかどうかのボーダーラインにいるので、明日からの練習にしっかり取り組み、次の試合でもチャンスをつかみたい。そう思えるようになったのも、実際にピッチに立ったからこそ。今、自分のなかで何かが変わった実感がある」と振り返った。

 試合に出たからこそ見えた景色があり、そこで初めて生まれる欲もある。10代の選手がJの舞台で存在感を示す時代に、福岡にも多くの若い選手が在籍していることは、クラブにとって明るい材料だ。新加入選手が新しい風を吹き込み、若手選手が台頭することで、チーム全体の底上げにつながっていくはずだ。

ポケモンJリーグフェスで福岡はスピアーとコラボ
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【川添道子】

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