多彩な顔をもつ平尾~高宮
高度上昇で住宅地は高級化
現在の平尾~高宮エリアは、中央区と南区にまたがり、それぞれ別の顔をもっている。
まず中央区側。西鉄平尾駅と幹線道路に近い平尾1~2丁目は商業施設やオフィスが多く、都市計画上も都心の外延部として「複合市街地ゾーン」に位置づけられる。一方、平尾3〜5丁目などは福岡市動植物園にも近い坂の多い丘陵地で、低層住宅中心の「低中層住宅ゾーン」を形成し、福岡を代表する高級住宅街として定着している。前出の史跡「平尾山荘」のほか、旧家の庭園「松風園」など、文化資源も丘陵部に点在する。白金は城南線と薬院新川に挟まれた住宅地で、薬院駅が徒歩圏にあり、福岡県知事公舎が置かれている。大宮も西鉄平尾駅と薬院駅の中間に位置し、薬院新川の水辺に沿って静かな住宅街を形成している。そして高砂は日赤通りなどの幹線道路沿いに業務施設や商業施設などが建ち並び、その背後に住宅や小規模な店舗が密集している。
次に南区側。那の川は那珂川の右岸に面した低地で、日赤通りと百年橋通りが交差する商業ゾーン。ラーメン店「一蘭」の第1号店である那の川店をはじめ、旧・九電工本社ビルや、健康食品通販大手の(株)やずやの本社ビルなど、企業拠点が集積している。大楠は福岡赤十字病院を抱え、高宮中学校や大楠小学校が立つ。高宮駅を離れて西へ進むと緩やかに高度が上がっていき、高宮浄水場のある丘陵地帯では、坂道の間に寺社や公園、緑地が点々とする閑静な住宅街が広がる。
エリア内を用途地域で見ていくと、まず日赤通り沿いや高宮通り、筑肥新道などの幹線道路沿いには、商業地域(建ぺい率80%/容積率400%)が張り付いている。また、幹線道路から内に入った白金や大楠などは、第2種住居地域(建ぺい率60%/容積率200%)だ。そして特徴的なのは、高宮通りから西の丘陵地帯に向かっていくと、高度が上がるにつれて住居地域の種別が変わっていくことだ。まず低地部分に広がるのは、第1種住居地域(建ぺい率60%/容積率200%)だ。そこから少し上がると、第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%/容積率150%)となる。そしてさらに上がっていくと、第1種低層住居専用地域(建ぺい率50%/容積率80%)となり、このあたりはいわゆる“高級住宅街”と呼ばれるエリアだ。平尾~高宮エリアは、全体として利便性の高い住宅地としての色合いが濃いが、その住宅地のランクが土地の高度によって上がっていくのが、何とも興味深い。
高い居住ニーズを満たすべく
相次ぐ分譲マンション開発
福岡市の住民基本台帳に基づく公称町別の人口および世帯数では、今回取り上げている平尾~高宮エリア(高砂1~2丁目、白金1~2丁目、大宮1~2丁目、平尾1~5丁目、高宮1~5丁目、大楠1~3丁目、那の川1~2丁目)は26年8月末現在で、人口5万1,193人・3万3,385世帯となっている。単純計算で1世帯あたり1.53人となっており、エリア内ではファミリーよりも単身者の割合が多いようだ。過去のデータから比較すると、10年前の16年8月末時点では人口4万7,327人・2万8,570世帯、20年前の06年8月末時点では人口3万9,949人・2万3,437世帯となっている。この20年間で、人口は1.28倍、世帯数は1.42倍まで増加しており、市内の他エリアと同様に、人口および世帯数とも増加傾向にあるようだ。
こうした人口および世帯数の増加を背景としてエリア内の居住ニーズは高く、その受け皿となるべく、新たな分譲マンションの開発が今なお相次いでいる。
西鉄平尾駅から徒歩7分の南区那の川2丁目では、(株)タカラレーベン(東京都千代田区)と積水化学工業(株)(東京都港区)による分譲マンション「レーベン平尾ハイムスイート」の開発が進んでいる。同物件は「平尾エリア最大級」を謳っており、RC造・地上15階建で、総戸数は145戸。施工は多田建設(株)西日本事業本部が担当し、27年8月の竣工を予定している。
西鉄薬院駅から徒歩5分の白金1丁目では、明和地所(株)による分譲マンション「クリオ ラベルヴィ薬院白金」の開発が進んでいる。RC造・地上12階建で、総戸数は23戸。設計・監理は(株)セカンド設計が、施工は共栄建設(株)がそれぞれ担当し、27年3月の竣工を予定している。
西鉄高宮駅から徒歩1分の大楠3丁目では、東宝住宅(株)による分譲マンション「フリーディア高宮駅前プレミアム」の開発が進んでいる。RC造・地上10階建で、総戸数は45戸。設計・監理は(株)サニム建築事務所が、施工はアスミオ.(株)がそれぞれ担当し、28年4月の竣工を予定している。
西鉄高宮駅から徒歩11分、西鉄バス「日赤前」バス停から徒歩4分の大楠1丁目では、(株)アライアンスによる分譲マンション「MISMO日赤通りデュオテラス」の開発が進んでいる。RC造・地上7階建で、総戸数は12戸。設計・監理および施工は(株)アルシスホームが担当し、27年11月の竣工を予定している。
西鉄平尾駅から徒歩5分の大宮2丁目では、(株)ラ・アトレ(東京都港区)による分譲マンション「ラ・アトレレジデンス平尾」の開発が進んでいる。RC造・地上13階建で、総戸数は23戸。設計はサニム建築事務所が、施工は九鉄工業(株)がそれぞれ担当し、28年5月の竣工を予定している。
ほかに白金1丁目では、大和ハウス工業(株)九州支社による共同住宅「(仮称)中央区白金一丁目プロジェクト」の開発が進んでいる。RC造・地上14階建で、総戸数は25戸。設計は(株)エヌプラスアーキテクトデザインオフィスが担当している。同物件は共同住宅として、現時点ではまだ分譲とも賃貸とも発表されていないが、周辺の立地を見る限り分譲マンションの可能性が高い。また、まだ正式な物件名は発表されていないが、大和ハウス工業の分譲マンションブランド「プレミスト」となることが考えられる。
白金2丁目では、近鉄不動産(株)(大阪市天王寺区)による分譲マンション「(仮称)福岡市中央区白金二丁目PJ」が進んでいる。RC造・地上14階建で、総戸数は25戸。設計はサニム建築事務所が担当し、27年1月頃の着工を予定する。まだ正式な物件名は発表されていないものの、近鉄不動産の分譲マンションブランド「ローレル」シリーズが久しぶりに福岡で誕生する可能性が高い。
また、白金2丁目の福岡県知事公舎に隣接する場所では、東京建物(株)九州支店による分譲マンション「(仮称)平尾白金PJ新築工事」の開発が進んでいる。RC造・地上14階建で、総戸数は31戸。設計はリーメック(株)が、施工は(株)内藤工務店がそれぞれ担当し、26年1月に着工。こちらも正式な物件名が発表されていないが、現地には東京建物の分譲マンションブランド「Brillia」の名前が掲げられている。
ほかに白金2丁目では、西日本鉄道(株)と(株)松本組による共同住宅「(仮称)中央区白金二丁目計画新築工事」の開発も進んでいる。RC造・地上12階建で、総戸数は31戸(うちワンルーム9戸)。設計は(株)セカンド設計が、施工は松本組がそれぞれ担当し、28年3月の竣工を予定している。まだ正式には発表されていないが、この物件も分譲マンションとして販売される予定だ。
高宮5丁目では、アライアンスによる共同住宅「(仮称)高宮5丁目計画」の開発が進んでいる。RC造・地上6階建で、総戸数は11戸。設計は(株)BAS建築設計が担当し、26年9月頃の着工を予定している。同物件は共同住宅として、分譲とも賃貸とも明言されていないが、現地にはアライアンスの分譲マンションブランド「CLUB THE.HOUSE」の看板が掲げられている。またアライアンスは、大楠2丁目でも共同住宅「CLUB THE. HOUSE平尾駅前新築工事」の開発を進行中。RC造・地上9階建で、総戸数は12戸。設計は(株)エムクラフトが担当し、こちらは26年11月の着工を予定している。
平尾4丁目では、日鉄興和不動産(株)住宅事業本部九州支店による共同住宅「(仮称)平尾4丁目マンション新築工事」の開発が進んでいる。RC造・地上4階・地下1階建で、総戸数は16戸。設計はリーメックが担当し、27年2月頃の着工を予定している。同物件も共同住宅として、分譲とも賃貸とも明言されていないが、現地には日鉄興和不動産の分譲マンションブランド「LIVIO」の看板が掲げられており、周辺が高級住宅街の一角ということもあって、新たな高級レジデンスが誕生する可能性が高い。
(つづく)
【坂田憲治】

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