2024年12月25日( 水 )

「マイナス金利政策」で九州地銀の株価急落

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 1月29日に日銀がマイナス金利政策の導入を決定。同日の日経平均株価(終値)は、前日比+476円85銭の1万7,518円30銭と急上昇した。週明けの2月1日も前日比+346円93銭の1万7,699円60銭と大幅に値を上げて、1月6日以来の高値で取引を終えている。
 日経平均株価に反比例するように、マイナス金利の適用で収益悪化が懸念される銀行株は連日の大幅安となっている。下表の通り、都市銀行の三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下FG)の2月1日の株価(終値)は、前日比▲33円の576.1円。マイナス金利の発表前日の28日からの二日間では▲51円(▲8.12%)。三井住友FGも前日比▲303円の3,677円。28日からは▲403円(▲9.21%)と大幅な下げが続いている。
hyou マイナス金利の影響が大きい都市銀行に対して、地方銀行はどうなのだろうか。九州地銀の株価推移を検証していくことにしたい。

◆ふくおかFG
・2月1日の株価(終値)は459円。前日比▲45円(▲8.93%)と、上場している九州地銀12行の中で、一番大きな下げとなった。昨年3月末比▲160円(▲25.85%)となっており、マイナス金利導入の影響は大きいことが分かる。

◆西日本シティ銀行
・2月1日の株価(終値)は前日比▲29円の238円と二番目の下げとなっているが、下落率は10%を超えて▲10.86%であり、昨年3月末比▲31.81%となっており、12行中一番大きな下げ率となっている。

◆九州FG
・九州FGは昨年10月に肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合して設立されており、過去のデータと比較できないが、前日比▲21円の723円となったものの、下落率は上位行の中では一番少ない▲2.82%となっており、財務内容の良さが株価に反映しているように思われる。

◆大分銀行
・2月1日の株価(終値)は前日比▲12円の402円。前年の467円に対して▲65円(▲13.92%)となっており、株価は大幅に下げている。

◆宮崎銀行
・2月1日の株価(終値)は前日比▲11円の321円と小幅な下げとなっているが、ただ昨年3月末
の457円から▲136円となっており、下落率は▲29.76%と西日本シティ銀行に次いで2番目に悪いのが目につく。市場は他行との経営統合を催促しているように見える。

◆佐賀・十八銀行
・この三行の株価も大きく下がっている。特に佐賀銀行は前年比▲20.46%と下げが大きく、今後宮崎銀行と同様に、経営統合への道を急ぐことになりそうだ。

◆筑邦・福岡中央・宮崎太陽・南日本・豊和銀行
・この五行の預金ボリュームは小さく、マイナス金利を適用はないものと思われる。しかも福証上場で売買高も少なく、株価に大きな変化は見られないが、貸出金利の一段の下げが予想されることから財務的には一段と厳しくなるものと見られる。

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マイナス金利の影響について

 日銀のマイナス金利導入によって日経平均株価は大きく上げたが、都銀や地方銀行の株価は大幅な下げとなっている。
 銀行に対して貸出を増やすように催促する「マイナス金利」の導入であるが、果たして日銀が目指す方向に進むかどうか。むしろ銀行が選別融資を強化する可能性もあり、財務内容の悪い企業にとっては大きな試練を迎えていると言えるのかもしれない。

【北山 譲】

 

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