NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、2月20日付の記事を紹介する。
モロッコのカサブランカ大学は日本ではあまり知られていませんが、医学に関する先端研究では高い実績を誇る存在です。そこでは最近、新たな発見がなされ、世界で注目を集めています。何かと言えば、日本でも関心を集め始めているアロエベラの有効成分に関するもの。アロエベラに含まれるβ-シトステロールという化合物が、アルツハイマー病患者の記憶喪失の原因となる脳内酵素を阻害する可能性があることが明らかになったのです。
コンピューターシミュレーションでは、β-シトステロールが既存の薬剤よりも効果的に結合することが示唆されています。ドネペジルなどの既存のアルツハイマー病治療薬は酵素の活性化を低下させますが、発作など重篤な副作用を伴うリスクが排除できません。一方、β-シトステロールはより安全な植物由来のため、副作用のリスクを低減させることができる代替薬となり得ると言うのです。
コンピューターシミュレーションの結果は有望ですが、専門家はヒトでの臨床試験が不可欠だと警告しています。とはいえ、この研究は、ホリスティックな選択肢を求める一般の需要が高まっているにもかかわらず、規制や資金面での障壁に直面している植物由来療法(ウコンやココナッツケトンなど)に対して医学的により安心できる可能性を示唆しているわけです。
近年、アロエベラのサプリメントが普及し始めていますが、医学的検証を経て安全性を確認する必要があることは論を待ちません。アロエベラは皮膚の治癒効果が顕著で、長年親しまれてきた家庭向けの植物に他なりませんが、今後の研究が進めば、アルツハイマー病の予防、治療薬という新たな役割を担うことになるかも知れません。
現時点では、本格的な医薬品開発に向けた初期段階ではありますが、有望な一歩であることは間違いなく、国際的に期待が高まっているわけです。というのも、アルツハイマー病の薬物療法は依然として限られており、しばしば深刻な副作用を伴うこともあるため、今回の発見は、自然で手軽な代替療法への道筋を切り開くものと思われています。
言い換えれば、自然界には見過ごされてきた武器がいまだ数多く潜んでいる可能性があるということです。しかし、専門家は、アロエベラ・サプリメントが実用的な治療法となるには、更に多くの研究と臨床試験が必要だと警告しています。とはいえ、β-シトステロールは、試験した他の化合物よりも強く結合し、アセチルコリンの分解を効果的に遅らせる可能性があることが示唆されたことは「希望の光」となるでしょう。
「今回の研究結果は、β-シトステロールが優れた結合親和性と安定性を示すことを示唆しており、今後の医薬品開発の有望な候補となるはず」と、主任研究者のメリエム・ケドラウイ博士は述べています。共同研究者のサミール・チティタ博士は、「この化合物は安全で吸収性も良好であり、毒性に関する懸念を軽減できる」と付け加えました。
期待が高まる一方で、専門家はコンピューターモデルだけではヒトにおける有効性を証明できないことを強調しています。「コリンエステラーゼを阻害しても、アルツハイマー病による脳細胞死は止まりません」と、アルツハイマー病協会のクリストファー・ウェーバー博士は指摘。懐疑的な同博士曰く「たとえヒト臨床試験で成功したとしても、これは疾患を根本的に改善する治療法にはならないと思われる」。ウェーバー氏はまた、アルツハイマー病に対する臨床的検証が不足している市販のアロエベラ・サプリメントへの過度の期待にも警鐘を鳴らしています。
本研究の次のステップである実験室実験とヒト臨床試験は、β-シトステロールが理論から治療へと移行できるかどうかを判断する上で、決定的な判断材料を提供してくれるはずです。
数十年にわたり、アルツハイマー病研究は医薬品によるアプローチが主流であり、その成果はまちまち。1990年代にはコリンエステラーゼ阻害剤が導入されましたが、症状はわずかに改善するものの、アミロイドプラークや神経炎症といった根本的な原因には対処できないままでした。
一方、ウコンのクルクミンからココナッツオイルのケトンに至るまで、天然化合物は注目を集めたものの、慎重論も多く、本格的な採用には至っていません。その意味で、今回のモロッコ発の研究成果は、植物由来の自然治癒療法に新たな道を開こうとする統合医療の動きを後押しするに違いありません。
著者:浜田和幸
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