蔵内勇夫前議長の会見、約1時間半におよんだ尊大な態度と証明する物証なしの独演会
福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑などで辞職した蔵内勇夫前議長が議員辞職後初めて開いた5日の記者会見はまさに茶番といってよいものであった。
主催の蔵内事務所が参加者を県政記者クラブのみに限定したため、当社記者2人で会見場である福岡リーセントホテルの会議室前で、蔵内氏を待ち構えたが、足早に会場を後にし、コメントをとることができなかった。
午後、クラブ加盟各社が配信した会見動画を視聴し、昨日の会見は、金銭授受への関与を否定し、自身が推進したワンヘルス施策などへの持論を展開する約1時間半にわたる独演会であったことを確認した。
会場を後にする蔵内勇夫氏
蔵内氏が用意したペーパーを読み上げての約15分間の説明は、ライブ配信が認められ放送されたが、なぜ会見を通しで配信しなかったのかSNSでは疑問の声が相次いだ。
蔵内氏ら自民幹部が参加したゴルフ会や会食において、吉松源昭県議ら複数の県議が数百万単位の現金を支払ったと証言しているが、会見ではこの点に関する質問が相次いだ。
蔵内氏は、「誰が会計をし、私がいくら負担したか覚えていない」としながら、「複数のゴルフ会に参加しているが、会計から負担状況を聞き、結果的には割り勘としている」と割り勘であったと主張。「その場でなくとも後で支払っており、誰かに負担を求めることはない」としたうえで、支払いを分割したことを示す領収書があるとの主張を繰り返した。また「お車代については知りません。以上です」と知らぬ存ぜぬを決め込んだ。
蔵内氏の発言の矛盾を指摘したテレビ西日本の川崎健太キャスターに対し、嘲笑とも取れる笑みを浮かべ、「ここは第三者委員会ではないでしょ」ととりあわなかった。
蔵内氏の発言は一貫して、自身に不都合な事柄は、はぐらかしたり、正面から答えようとしなかったりと、議員辞職前の姿勢と何ら変わることがなかった。
具体的な話らしきものが出たのは、九州朝日放送の上月英興記者からの蔵内氏の地元・筑後市の県営筑後広域公園のワンヘルスを抽象化したモニュメントに関する質問に対する回答で、「八女県土整備事務所内に検討委員会が設置され、どういうものがよいか検討され、ある設計会社に決定した」と述べ、県の方針に基づくとし「(モニュメントは)まさにワンヘルスではないか」と自身の意向に沿うものであったことを一部認めたが、「検討委員など知らない」と人事面などの関与を否定した。
ワンヘルスについては、「私しか分かっていなかった。丁寧に説明し、進めなければいけなかった」と反省を述べたものの、「ワンヘルスという名称が風評被害を受けている」とし、理念や政策の正当性を強調した。
「融和と結束」が自民党県議団の旗印と語ったが、正副議長ポスト獲得や幹部昇進に現金を渡すことが暗黙の了解になっていたとなると、政治を行うには金銭が絡まなければならないということになり、真に「融和と結束」であったのかどうか疑わしくなる。
そもそも辞職したとはいえ全国都道府県議会議長会会長まで務めた「公人」であったことは紛れもない事実で、第三者委員会などの調査に協力するというのであれば、記者会見も県民の知る権利という点から考えても広くオープンにすべきであったが、一部を除いて記者クラブの記者たちの弱腰な姿勢により、身内のみの会見となった。
先月末に西日本新聞とテレビ西日本が共催した県議会問題を取り上げたシンポジウムで、司会を務めた西田亮介日本大学危機管理学部教授が「インターネットメディアには権力チェックは期待できない」という趣旨の発言をしたが、新聞やテレビなど大手メディアも、福岡政界のドンの圧力に屈する体たらくである。記者クラブ以外のメディアが参加していたら、また会見のやり取りも違っていただろう。
最後に会見参加を申し込んでいたが拒否されたフリージャーナリストの横田一氏の蔵内事務所に対する文書を紹介したい。同趣旨の要望を福岡県政記者クラブの幹事社である西日本新聞に行ったが、いずれも拒否されている。
前・福岡県議 蔵内勇夫様 2026年11月4日
横田一前略。私はフリージャーナリストの横田一と申す者で、ネット番組「横田一の現場直撃」を毎週月曜日に配信。吉松県議のインタビュー記事をネット媒体「データ・マックス」で執筆したものでもあります。今回、ご連絡を差し上げましたのは、明日の記者会見にぜひ参加したいので、時間と場所を教えていただければと思ったからであります。ただ「県政記者クラブ所属の記者に限定」という話を耳にしましたが、その場合、フリー参加も可能にしていただきたいのと、それを認められない場合には、その理由を教えていただけますと、幸いです。全国的な関心事になっておりますので、ご検討のほど、よろしくお願いします。それでは、失礼します。
【近藤将勝】









