2024年11月25日( 月 )

非常事態に近い安倍首相の国会対応能力

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。本日は、甘利明経済相引責辞任問題を擁護する大手マスコミと同じく、本来同問題を批判すべき日銀もマイナス金利を導入することで安倍政権を援護しようとしていると批判する2月5日のブログを紹介する。


 安倍政権への逆風がやまない。
 甘利明経済相が引責辞任に追い込まれたが、閣僚辞任で済む話ではない。2013年5月9日に甘利事務所が“口利き″の依頼を受けた途端、S社に対するURの対応が急変。S社は3カ月後、先行補償の約1600万円から約2億2,000万円もの積み増し補償を受け取った。

 その後に、S社は甘利氏を訪問し、現金を供与した。甘利氏が直接受領した現金は、2013年11月14日に50万円、2014年2月1日に50万円である。

 政治資金収支報告書においては、自民党神奈川県第13選挙区支部に対して建設会社から2014年2月4日に100万円の寄付金があったとの記載があるが、これは、上記の甘利氏が受領した2回にわたる50万円の現金とは事実関係が異なる。
 また、2回の50万円受領の暦年は異なっており、政治資金規正法においては、2回の現金受領を2013年分と2014年分に分けて報告しなければならないはずである。
 小沢一郎氏の秘書を務めていた石川知裕元衆議院議員が逮捕、起訴された事案は、小沢一郎氏の資金管理団体が2004年10月に支払いを完了して2005年1月に移転登記が完了した不動産取得について、これを2005年の収支報告書に記載して報告したことが虚偽記載だとされたものである。

 商法の専門家は法廷で、このケースでは2005年の報告書に記載するのが正しいと証言した。ところが、2004年の報告書に記載したことが虚偽記載だとして逮捕、起訴されたのである。
 甘利氏が政治資金規正法違反で立件されるのが筋であろう。
 また、テレビ報道では、URが保証の内規上限以上には金額を拡大できないと説明したことだけが伝えられているが、問題の核心は、当初1,600万円だった補償額が、口利きののちに、一挙に2億2,000万円も積み増しされたことにある。この部分を正確に報道するなら、視聴者のほぼすべてが、甘利事務所の「あっせん利得処罰法違反」の心証を持つに違いない。

 メディア報道は、URが内規を遵守して口利きによる圧力に屈しなかったかのような演出を施すものだが、事実の核心とかけ離れている。事実の正反対の報道を展開しているのだ。そこに、警視庁が援護射撃した。清原和博氏逮捕を、衆議院の予算委員会にぶつけてきたのだ。NHKをはじめとするテレビ各局は報道番組の大半を清原報道で占有させた。本当に姑息な、弱々しい対応である。

 日銀は安倍政権の支配下に置かれてしまった。総裁・副総裁の3名審議委員の2名が第2次安倍政権によって決定された。日銀の政策決定では、5人の議決権保持者を支配してしまえば、議論は意味がなくなる。5人の賛成で決定できるからだ。
 日銀の独立性は消滅した。日銀関係者の誰一人として、この不正、不健全性を批判しない。堕落は深刻だ。安倍政権の支配下にある黒田東彦日銀は、甘利ショックで沈む安倍政権にマイナス金利導入という支離滅裂な政策に突き進んだ。
 甘利ショックで劣勢にある安倍政権を救済するために、5対4という無謀な議決に走り、マイナス金利導入を決定した。しかし、これまで実行してきた量的金融緩和と、今回のマイナス金利導入は根本的に矛盾する部分がある。
 また、金融機関の対市中与信の拡大も見込めない。ただ単に、円安誘導し、株高を誘導するためだけのものである。

 十分な検討も、十分な分析も行われぬまま、ただひとつ、安倍政権を援護するためだけに黒田日銀が動いたが、その効果はわずか3日で剥落し始めている。

※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1358号「非常事態に近い安倍首相の国会対応能力」で。


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