2024年12月25日( 水 )

九州地銀の株価下げ~企業倒産多発の前触れか

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fukei_tokai 5日の東京株式市場において日経平均株価は、寄り付き1万6,790円53銭(前日比▲254円46銭)と、あっさりと1万7,000円を割り込んだ。
 5日のニューヨークの市場のダウ平均株価は、-211.61ドルの16,204.97ドルで引けた。外国為替市場で、米国の追加利上げのペースが緩やかになり、日米金利差は広がらないとの見方から、ドル円は一時116円台後半で推移。そのため輸出産業を中心に大幅な下げ。また日銀の「マイナス金利」の影響を受けて金融関連株も大きく値下がりしている。

 九州の地銀で大きく値を下げたのはふくおかFG。一時399円(5日13時11分)と400円を切ったが、その後持ち直し終値は(前日比▲18円)の408円だった。それに続いたのは十八銀行▲11円と大分銀行▲10円だった。
 推移表から分かるように、昨年3月末からもっとも値を下げているのは西日本シティ銀行で349円から212円(▲39.26%)。続いて宮崎銀行の457円から296円(▲35.23%)。以下、ふくおかFGの619円から408円(▲34.09%)となっており、第一地銀は筑邦銀行を除き20%以上の下げとなっている。

九州地銀の株価、ほぼ全銘柄大幅下落

 上場している12の九州地銀・FG(18行)の株価が、福岡中央銀行を除いて大幅に下がっている。今までは有価証券の含み益があり、打ち出の小槌で決算操作は簡単にできていたが、日経平均株価がこのまま下がり続けると、それもできなくなってくる。
 その上、日銀がマイナス金利政策を打ち出したために、企業への貸出や個人対象の住宅ローンを始めとして、金利引き下げに応じざるを得ない状況になっている。

貸出金利の引き上げはあるのか

 16年3月期は、残り2カ月足らずしかないので、銀行の決算には大きな影響はないと思われるが、17年3月期は大幅な減収減益に見舞われることになりそうだ。
 そうなれば銀行は収益確保に動き出すのは自明の理。そのターゲットは赤字企業や中小企業となる。優良な企業への貸出金は他行からの肩代わりを受ける恐れがあり、金利引き下げに応じるかもしれないが、業況の悪い企業はその恐れはなく、手っ取り早く金利引き上げを要求することができるからだ。

 地方銀行の取引先は地元企業が主体である。その企業の多くは人口の減少に伴う地域経済の縮小で経営基盤が厳しい状況にある。
 これまではバブルの再来を思わすように金融は緩んでいたが、今は「マイナス金利の導入」により潮目が変わったようだ。金融の引き締めによる企業倒産が増えるのではないかとの見方が広がってきている。企業経営者にとってマイナス金利の導入はジカ熱のように経営に影響を与えることが予測される。厳しいオリンピックの年となりそうだ。

【北山 譲】

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