アベノミクス破綻確定と危機打開の方策
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NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。日銀が導入を決めたマイナス金利の弊害を、マスコミ、特にNHKは報じようとしない。安倍政権の政策失敗を認めさせるためには、マスコミの力が重要だが、その機能が破たんしている現状を指摘する2月12日のブログを紹介する。
2月9日、日経平均株価が918円下落して16,085円に達した。2月10日には、ついに16,000円を割り込んだ。1月21日終値の16,017円をも割り込んだ。1月29日に、日銀はマイナス金利導入を決めた。円安を誘導し、株高を誘導するための政策決定だった。しかし、日銀のこれまでの説明に反する政策決定であり、しかも、日銀内部で強い反対意見が表出されたものだ。
日銀の政策決定会合で議決権を持つメンバーは9名いる。そのうち、5人が、安倍政権が任用した者だ。この5人だけが賛成して新政策を決定した。日銀が政治権力の支配下にあり、政治権力の力だけで金融政策を決定している現実が鮮明に浮かび上がった。
しかし、このマイナス金利導入の市場へのプラス効果は3日間しかもたなかった。賞味期限3日の政策になってしまっている。ドル円レートは急激な円高に振れ、株価は急反落した。黒田日銀の政策失敗と言うより他にない。この事実を伝えるNHKがまた素晴らしい。急激な円安進行を「安全資産の円への投資が進展した」と伝える。「マイナス金利」については、「住宅ローン金利が低下してローンを組む人にはプラスになる」「生命保険や年金の運用にはマイナスになる」と銀行の職員が語るのを伝える。
銀行の預金金利が引き下げられる話などほとんど触れない。株価が急落したことなど、無かったかのような報道である。政府に都合の悪い放送をすると、電波法76条に基づいて総務大臣に電波停止を命じられてしまうことを恐れてなのか。NHKの御用放送ぶりが一段と際立ってきた。追加金融緩和政策を決定したのに、効果は3日しかもたなかった。為替は円安でなく、円高に振れている。株価は追加金融緩和を実施した時点の水準を超えて暴落している。このことについて、日銀関係者のコメントを取るのが報道機関の役割だろう。株価が暴落しているのに、株価について何も伝えず、「日本円は安全資産だから買われている」と伝えるのでは、単なる政府の提灯持ちである。
円安で株価が上昇したときには、「アベノミクスの成果」だと宣伝し、円高に振れて株価が暴落したら、
「安全資産の円が買われている」というのでは、笑い話にしかならない。
マイナス金利導入で預金金利がさらに引き下げられていることについて、最も深刻な問題は、年金生活者の受取利息が皆無になることだ。住宅ローン金利についても、マイナス金利を導入した欧州の場合、逆に上昇した事例もある。
このようなことを、事実に即して伝えるのが報道機関の役割のはずである。日本株価が大幅下落している原因の一つは、安倍政権のマクロ経済政策にある。標準的なマクロ経済学の教科書は、金融緩和政策には限界があることを教える。
このような局面で有効な効果を発揮できるのは財政政策である。この財政政策が強度の緊縮政策に振れている。だから日本株価の下落が他国に比較しても激しいものになっているのである。『金利・為替・株価特報』では、昨年半ばから、ドル円レートでの円高傾向への回帰を予測してきた。そして、年明け後の日本株式市場について、安倍政権の財政政策の影響を指摘してきた。この政策が修正される動きがまだ生じていない。
アベノミクスの全面的な見直しなくして、事態の抜本的な立て直しは難しい局面にある。※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1363号「アベノミクス破綻確定と危機打開の方策」で。
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