企業研究・(株)はせがわ~業界最大手の将来性は?(前)
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「おててのしわとしわをあわせてしあわせ」のCMで有名な(株)はせがわ。仏壇・仏具業界において、業界の最大手として著名である。しかし、現代社会の価値観の変動により、顧客の仏壇・仏具購入は下降傾向にある。今後、同社は事業を大きく方向転換するのであろうか。
仏壇業界の先駆者として
(株)はせがわは、1929年9月に福岡県直方市で長谷川才蔵氏が仏壇・仏具の販売を主たる事業として長谷川仏具店を創業したのがはじまり。才蔵氏は「仏壇屋は人々から手を合わせていただく仕事。お仏壇は表の玄関から納める。お仏壇開きではお寺様と一緒に上座に座り、帰りには尾頭付きの鯛をいただく。これほどありがたい商売はない」と語り、当時暗いイメージが圧倒的であった仏壇・仏具業の地位向上に貢献した。
54年より自社製造のオリジナル仏壇を販売。66年12月に製造部門を(株)長谷川仏壇製造所、販売部門を(株)長谷川仏壇店として法人化した。76年4月、販売会社の長谷川仏壇店の社名を現商号に変更し、5月に本部機能を博多区に移転させた。79年2月に埼玉県川口市に川口芝店を開店し、関東地方へ初進出、市場開拓の基盤を作った。82年4月に才蔵氏の長男の裕一氏が代表取締役社長に就任。88年11月に仏壇業界では初となる株式上場を果たした(福岡証券取引所)。その後、94年11月に大阪証券取引所第2部、2012年3月に東証第2部、13年3月に東証第1部に上場した。創業以来、自他共に認めるわが国随一の仏壇・仏具の先駆者的存在として、業界トップに君臨し、現在に至る。
事業多角化の失敗
業界最大手の同社だが、過去本業以外の事業に進出したことで辛酸をなめている。94年11月、当時の社長・裕一氏は、大証上場によって得た信用と資金力で、事業の多角化を実施した。ホームセンター、ボーリングを中心としたアミューズメント分野、不動産関連で海外にも進出。ベトナム、中国、ミャンマーへオフィスビルやアパート、ホテルの開発へ投資。さらには、中国へアミューズメント分野、弁当やパン製造販売の事業も開始するなど、本業とは関わりが薄い事業への多角化を本格化した。しかし、これら事業の多角化は不振が続き、自己資本を下落させるなど同社の財務基盤を揺るがし始めた。2000年4月から本業回帰および海外事業の完全撤退を宣言し、09年までに海外事業とともに国内のホームセンターやアミューズメント分野の事業からも完全に撤退した。
裕一氏は、『第2創業者』として業界内外から注目され、父であり創業者の才蔵氏から受け継いだ本業をより強固にして上場を果たし、全国規模の市場を構築した手腕の評価は高い。裕一氏は、日本ニュービジネス協議会連合会会長など要職を務め、地元福岡をはじめとした全国各地の様々な経営セミナーや講演会、経営者向けのメディア各種への登場し、経営者の鏡として多くの支持者を得ていたなかでの、事業多角化の失敗は、裕一氏にとって大打撃の教訓となった。
(つづく)
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