権限委譲で社員の士気を向上。職場改善も強化する
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(株)エフ・ティ・エス 代表取締役 福澤 裕士
政策効果の追い風に乗り売上純増
建設用の防水剤やシーリング、外装材、塗料などを扱う(株)エフ・ティ・エスが好調だ。
2015年2月期決算は33億8,200万円と対前年比104%と増収。前々期は消費税アップの駆け込み需要の追い風を受けたが、同社設立後で初めて年商30億円を突破した。前期は前々期の勢いをそのまま維持し、見事に売上増につなげたかたちだ。
「前期は消費税3%増もありますが、数字を見れば純増になります。要因は公共事業の増加や建設需要の回復など、アベノミクスによる政策効果もあるでしょうが、そうしたマーケットのニーズに即応した社員の頑張りも見逃せません」と福澤裕士社長。
10年、父親の急逝を受けて社長に就任。先代がつくり上げた自由闊達で、アットホームな社風を継承しながらも自分のカラーを出しつつ、組織の整備や体制固めに力を入れる。2代目として社風を変えるつもりはないが、ガバナンス強化も避けられない。相反するテーマに直面するなか、福澤社長は幹部社員に対して仕事の権限を委譲し、自覚とやる気を促す。数字を見る限りでは、そうした手法が結果に結びつきつつある。
「企業が大きくなってくると、どうしても組織化が必要となってきます。しかし、社風に反するような組織化は意味がない。仕事の権限委譲を行い、どのポジションでもやりがいのある組織、些細な情報でも共有できるような風通しの良い組織をつくることがトップである私のテーマです」と、福澤社長は考える。顧客管理と精度アップが営業力の強化に
一方、外部要因に左右される売上環境のなかで、営業力のアップにも取り組んでいかなければならない。そのカギを握るのが、顧客管理の精度アップだ。福澤社長は、営業マン時代には取引先の各現場に顔を出し、資材が消化され枯渇してしまう時期を把握。事前のフォローを欠かさず、信頼を勝ち得てきた。商品のデリバリー体制は外部委託で行っているが、無数にある取引先の現場に対して外部委託だけでは対応できないときもある。突発的な依頼の際は、営業マンが直接現場へ走り納品することもあるという。そのきめ細やかなサービスが同社の売りであるが、見えないコストを意識する力を養っていかなければならないと福澤社長は言う。
「日頃から、いかにお客さまとコミュニケーションを取り、現場の状況を把握できるか。この基本的な昔ながらの営業手法こそが、現行のデリバリー体制に余裕を生み、突発的な依頼を減らし、営業マンの見えないコスト削減につながる。裏を返せば、お客さまの発注に対する管理・労力の削減となり、見えない利益の提供につながる。現場は生ものですので、臨機応変な対応は今後も当社の売りとして必要不可欠ですが、そこを意識することが、結果として営業力アップにつながると思います」。
福澤社長は一社員からの大抜擢だけに、職場環境の改善にも積極的に目を向ける。プライベートとのメリハリや、少子高齢化にある昨今の社員採用を考えると、旧態依然とした「仕事だからしょうがない」は、通用しなくなっている。
「仕事も大事ですが、同じくらいプライベートな時間を大切に考える環境にしたいですね。私生活の安定は、より良い仕事を生むと思いますので。また、そうしていくことが、今後の社員採用を含むさまざまなことで当社の優位性になると思います。そのために、固定観念にとらわれず、創意工夫し仕事の効率を上げられるよう取組んでいく考えです」と、就任から5年で福澤社長の経営感覚は研ぎ澄まされている。※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)エフ・ティ・エス
代 表:福澤 裕士
所在地:福岡市博多区吉塚4-6-17
設 立:2000年3月
資本金:1,800万円
TEL:092-624-2938
URL:http://www.f-ts.co.jp/<プロフィール>
福澤 裕士(ふくざわ ゆうじ)
1978年4月、宮崎県生まれ。大学卒業後、2001年に(株)エフ・ティ・エスに入社。福岡、宮崎支店で営業を担当した後、父親の急逝を受けて、10年に代表取締役に就任。関連キーワード
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