東京の富を福岡へとシフトする
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(株)冨士機 代表取締役 藤田 以和彦
スーパーゼネコンの福岡の富収奪に義憤高まる
藤田以和彦社長は、(株)冨士機を設立して43年になる(法人設立1972年)。藤田社長個人の通算業歴でいけば、半世紀におよぶ。その間、さまざまな開発に注力してきたが、その極め付きは『中性化固化改良工法』を生み出したことだ。同工法は、廃棄物として処分されてきた高含水の建設汚泥や浚渫泥土、軟弱土を中性固化材と改質機を用いて、発生現場内で所定品質(第4種以上)の改良土に瞬時に改質するもの。この工法が広く認知され、東京での受注がうなぎ上りである。
藤田社長は長年、義憤を抱いて生き続けてきた。仕事柄、スーパーゼネコンと付き合いをしてきたのである。「公共事業の最大の貢献は、お金を地方に廻すことである」が同氏の持論だ。だが現実は、その現場で挙げた収益は、スーパーゼネコンの本社である東京へ上納されてしまう。福岡の富を中央へ収奪される構造が、強力に確立されているのである。「よほどのハードルの高い工事以外であれば、地元業者でも施工できるのだが」という自問自答を繰り返していたが、現実は、何ら是正処置が打たれてこなかった。
そこで、「よーし、それならば俺が東京で請け負い、その儲けを福岡に持って凱旋帰郷してみせる」と覚悟した。藤田社長の脳裏にあるお手本は、ブリヂストンである。タイヤメーカーとしては世界一に変貌した。本社も東京へ移転している。しかし、納税申告先は発祥の地・久留米市なのである。法人税の大半は国税として中央へ吸い取られるが、地方法人税は久留米市、福岡県に納税される。久留米市の財政への貢献度合いは、すごいものになることは明白だ。
リニア工事で実績づくり
まずは、東京で業績を上げる事業基盤を打ち固めることから、着手しなければならない。2005年に、東京メトロの新木場の敷地を借りて、汚泥処理プラントの立ち上げからスタートした。それから東京の受注は加速化したのである。そしてついに、日本の中小企業のモデルゾーンと高い評価を受けている、東京都大田区の京浜島工業団地の用地約1,500坪を購入した。資金投入は15億円を超えた。ここで、汚泥処理再生事業を本格化させたのである。
14年2月に購入し、稼働を開始したのが5月からである。ところが、予想に反して仕事の依頼量は急増する。東京オリンピックを目の前にして、首都大改造が推進されている。地下鉄・都市高速道路の新線、拡張のインフラ整備が急ピッチだ。地下40m以上の深さで工事がなされるのであるから、冨士機の技術力が如何なく発揮される。だから特命で仕事が殺到する。そうなると、もう京浜島の工場だけでは対応が不能になってくるのである。第2拠点の建設が、当面の課題になってきた。まさしく驚異的なことだ。
そして藤田社長の経営者としての最後の総仕上げのビッグプロジェクトが、リニア中央新幹線の工事である。品川~名古屋までの工事は10年間続く。地下奥深くトンネル工事が貫徹される。同社の技術力の水準を最高に発揮できる舞台装置が完成した。京浜島からリニア中央新幹線の起点となる品川駅まで、10km足らずである。効率的な工事ぶりが可能になる。
最後に傑物・藤田以和彦社長は、「私の経営者としての最終的な総仕上げがリニア中央新幹線工事になるとは、非常にハッピーなことである。日々、太平楽なことを言ってきたが、いよいよ言ってきたことを実現できるようになった。東京の仕事で得た収益を、福岡に持ち帰ることである。首都の富を持って故郷への凱旋帰郷を遂行できて、満足だ」と結んだ。
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<COMPANY INFORMATION>
(株)冨士機
代 表:藤田 以和彦
所在地:福岡市博多区博多駅東1-10-30
冨士機博多駅東ビル
設 立:1972年9月
資本金:5,000万円
TEL:092-432-8510
URL:http://www.kk-fujiki.jp/<プロフィール>
藤田 以和彦(ふじた いわひこ)
1943年、福岡県生まれ。福岡大学卒業後、実父経営の鉄工所に入社。69年9月に事業を継承。72年9月に(株)冨士機鉄工(現・(株)冨士機)として設立し、代表取締役に就任。グループ会社の(株)セントラル商工の代表を兼務。趣味は登山。関連キーワード
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