セキュリティ職人からプロフェッショナルへ!(1)
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SECCON 実行委員長 竹迫 良範 氏
情報通信研究機構(NICT)の統計によると、2014年に日本の官公庁・企業・大学に仕掛けられたサイバー攻撃は256億6,000万件で、13年の128億8,000万件と比較して倍増した。一方、世界の注目を集めたロンドン五輪ではサイバー攻撃は2億回を超え、東京五輪ではその10倍以上になることが推定されている。いよいよサイバー攻撃に備える国や企業の演習が活発化してきた。そして今、セキュリティの現場では「セキュリティ職人」ではなく、いかなる場合でも結果を出せる「プロフェッショナル人材」が求められている。
以上のような環境下で、関係者が注目する日本最大規模のCTF大会「SECCON 2015決勝大会」(1月30日・31日の2日間)が東京電機大学(東京都足立区)で開催された。遠藤利明五輪担当大臣も視察に訪れ、開会式で挨拶し、参加者に熱いエールを送った。
SECCON実行委員長、竹迫良範氏((株)リクルートマーケティングパートナーズ 技術フェロー)に聞いた。基本的に、サイバー空間には国境がありません
――「SECCON 2015決勝大会」の運営、お疲れ様でした。まずは、本大会の全体感想からお聞かせいただけますか。
竹迫良範氏(以下、竹迫) 今年は初めて、「intercollege決勝大会(学生大会)」と「international決勝大会(国際大会)」の2つに分けて実施し、国際大会の予選には世界65カ国から、3,343名の方にご参加をいただきました。参加国も参加者も昨年より増え、学生大会、国際大会とも、まずは大団円のうちに幕を閉じることができたと感じています。
――昨年、オンライン予選は、国内向けと海外向けと2回実施されていますが、今回は1回だけです。この変更は何を意味しますか。
竹迫 オンライン予選は英語と日本語で実施しておりますので、日本人でも外国人でも誰でも、どこからでも参加できます。昨年は初めて海外から参戦いただきましたので、世界の強者ハッカーに日本人が委縮しないように、日本人向けのオンライン予選と海外(日本人も含む)オンライン予選との2つに分けて実施しました。日本人に対し、特別な配慮をしたわけです。しかし、今回は、それを止めて1つに統一しました。
これには2つの理由があります。1つは、昨年オンライン予選を実施してみて、日本人も海外の強者に負けない実力があり、充分に渡り合えることがわかったことです。もう1つは、基本的なことですが、サイバー空間には国境がありません。インターネットでオンライン予選をやる場合、世界と繋がっていて、そのなかでの日本チームの実力がわからないと意味がないと考えたからです。そこで、思い切ってシフトしました。日本だけに閉じて、タコ壺化してしまい、今ある日本の現状だけに向き合うことになってしまうことを避けたかったのです。
日本人の決勝進出には4通りの手段がありました
――なるほど、その代わりに、「地方大会」、「連携大会」をさらに充実させたものにしたわけですね。
竹迫 海外からの参加者は海外の連携大会を除けば、基本的には、決勝に参加する手段はオンライン予選だけでした。しかし、日本人の場合は4通りの手段がありました。
1つ目は海外からの参加者同様、インターネットによる「オンライン予選」です。2つ目は「SECCON 2015地方大会」です。これはそれぞれの大会が特色を持っており、横浜(CEDEC CHALLENGE)、広島(熱血シェルコード)、福島(サイバー甲子園)、大阪(CSIRT演習)、九州(Attack & Defense)の5カ所で実施されました。3つ目は国内連携大会です。今年は(1)「白浜危機管理コンテスト」(インシデント対応コンテスト)(2)「SANS NetWars Tournament 2015」(ワークショップ+CTF大会)、(3)「MWS Cup 2015」の3つと連携しました。4つ目は海外連携大会です。今年は(1)「ASEAN Cyber SEA Game」、(インドネシアで開催、この大会はASEAN10カ国が対象で日本人チームは参戦できない)(2)「HITCON CTF」(台湾で開催、日本人チームも参戦した)の2つと連携しました。
各大会の優勝者や成績優秀者は、オンライン予選とは別枠で「SECCON 2015決勝大会」に招待しました。結果的に、今年の国内大会優勝チーム「dodododo」は国内連携大会「SANS NetWars Tournament2015 」の準優勝チームで、国際大会優勝の韓国チーム「Cykorkinesis」は海外連携大会「HITCON CTF」の優勝チームでした。
(つづく)
【金木 亮憲】<プロフィール>
竹迫 良範(たけさこ・よしのり)SECCON 実行委員長
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ 技術フェロー。大学卒業後、独立系ITベンチャーにて大企業向けパッケージソフトを開発、主に国際化を担当する。国内大手グループウェア研究子会社にて中長期のR&Dの傍ら、エンジニア採用、産学官連携活動と日本の人材育成に関わり、NPO法人にてセキュリティコンテスト「SECCON」を立ち上げ、2015年9月より現職に。2008年 Microsoft MVPアワード Developer Security、2013年情報処理学会 山内奨励賞、CSS2013/MWS2013 CSS×2.0一等星を受賞。著書として『ECMA-262 Edition 5.1を読む』(秀和システム)、共著として『セキュリティコンテストチャレンジブックーCTFで学ぼう!情報を守るための戦い方』(マイナビ出版)などがある。関連記事
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