九州FG誕生~金融再編の行方を占う(1)
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九州の金融界に大きな衝撃を与えた肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合。いよいよ来月1日に九州フィナンシャルグループ(FG)として誕生する。会長(兼肥後銀行頭取)には甲斐隆博氏(64歳)、社長(兼鹿児島銀行頭取)には上村基宏氏(63歳)が就任し、本格稼働することになる。また九州において高いシェアを持つゆうちょ銀行が11月4日に上場を予定している。
今年に入り桜島、阿蘇山と九州の尾根が次々と噴火しており、あたかも次の金融再編の動きを予兆するかのようだ。九州FG設立の経緯
・昨年11月10日、肥後銀行(熊本市)、鹿児島銀行(鹿児島市)両行は、26年9月期(中間)決算の説明に臨み、経営統合に向け協議を進めていくことで基本合意したと発表。
・2015年2月17日、両行の役員らが鹿児島銀行本店で統合準備委員会を開き、新たに設立する持ち株会社の名称を「九州フィナンシャルグループ」とすることを内定。
・2月26日、上村鹿児島銀行頭取は記者会見し、「監督官庁の九州財務局が熊本市にあり、利便性から本社機能は熊本市とし、登記上の本社所在地は鹿児島市にすることになったのは、双方痛み分けの結果」と、苦しい胸の内を披露しながらも、経営統合が最終段階を迎えていることを報告。
・3月26日午前、肥後銀行と鹿児島銀行は、それぞれ各本店で取締役会議を開催。「経営統合」の決議が上程され承認された。
・6月23日、肥後銀行と鹿児島銀行は定時株主総会を開催。「(1)経営統合する会社の名称を九州フィナンシャルグループとし、10月1日に設立。(2)持ち株比率については、肥後銀行株1株に対して九州FG株1株、鹿児島銀行株1株に対しては同1・11株を割り当てる」など、経営統合に向けた議案は両行の株主総会で、賛成多数により承認された。
ここで肥後銀行と鹿児島銀行について【表1】から比較検討してみる。肥後銀行と鹿児島銀行の計数について
<表から見えるもの>
・肥後銀行の預金残高(15/3月期)は4兆1,965億円。それに対して鹿児島銀行は3兆5,461億円で、6,500億円の差がある。しかし貸出金については肥後銀行の2兆6,695億円に対して、鹿児島銀行は2兆6,682億円と、その差はわずか13億円に迫っている。
・当期純利益は肥後銀行の129億円に対して、鹿児島銀行は136億円となっており、収益力は上回っているのがわかる。16/3月期の予想収益は共に125億円と足並みを揃えているが、鹿児島銀行に余裕があるように見える。
・両行の自己資本比率は共に12%を超えており、経営内容はほぼ互角。九州FGの経営を巡る主導権争いが次の焦点となりそうだ。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】関連キーワード
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