2024年11月20日( 水 )

存在を消された屋台と課長のトンデモ発言~福岡市屋台公募

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選定委資料に存在しなかった屋台の営業場所

赤坂地区の屋台の存在がわからない
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 選定委員による不正(情報漏えい)が発覚した福岡市屋台公募問題。屋台は、観光資源というだけではなく、たとえば仕事帰りの市民が集う憩いの場でもある。「他所の人に、福岡・博多の人情を伝える交流の場」という屋台ファンの声も。高島市政は、そうした屋台を支持する市民の声に耳を貸さず、勝手な判断でお客から愛される屋台を消し去ろうとしているようだ。

 今回の公募における屋台の募集場所は、市が候補地を集め、選定委員会が決めた。ただし、選定委員会で1つ1つの場所について審議された経緯はなく、事実上、市側の提案がそのまま通った形。募集場所は28カ所。屋台基本条例によって今年3月末で営業許可取り消しとなる28軒の屋台と同じ数なのだが、現在、屋台が営業している場所がそのまま募集場所になるわけではない。初めから、赤坂地区と祇園地区にある「名義貸し」とされた屋台の営業場所については、募集場所に含まれていなかった。

 昨年8月24日に開かれた第1回福岡市屋台選定委員会で、委員に配布された資料(添付図)では、とくに赤坂地区の屋台の存在が巧妙に消されていた。添付図は赤坂地区を含む部分を切り取ったものだが、オレンジと青の丸の数字が募集場所の数。黒丸は「H29.4時点の営業予定数」であり、本来、丸のなかに書かれていた数字は情報公開時に黒く塗られた。L字型や長方形に黒くマークされている部分が募集場所を含む屋台の営業場所である。

 赤坂地区(NetIB-NEWS編集部が赤線で囲んだ部分)は、何ら表示がなく、屋台の存在は確認できなくなっている。同地区で営業する屋台2軒がともに「名義貸し」とされ、「3月末で営業許可が取り消しとなるため、H29.4時点の営業予定数を表示していない」という理屈だろう。この表だけで、「20数年屋台に行ったことがない」と語る“屋台事情を知らない選定委員”が、赤坂地区に屋台の営業場所があることに気づくのは不可能だ。

 一方で、市側は、選定委員に対し、「本来はもっと少ない数でしたけれども、職員が努力をして28を確保しました」などと説明。削られた赤坂地区および祇園地区の屋台営業場所は、天神北地区の中央郵便局前、天神南地区の渡辺通沿いに新規に創ったという。天神周辺は、屋台の営業場所の選択肢が増える形となっているが、そもそも、屋台の営業場所を28に限定したこと自体、疑問がある。

屋台担当課長「10年後は道路がどうなるかわからない」

エリアから外された祇園地区

 選定委員による書類審査の不正が大きく取り沙汰されるなか、市側が印象操作に利用した屋台担当・にぎわい振興課・三笘和弘課長が受けたという「暴行事件」は、この“屋台の募集場所”が原因である。事件扱いするのも疑問を感じる内容だが、起きたのは応募締め切り前の昨年10月5日(関連リンク参照)。書類審査における不正とは何ら関係がない。

 募集場所について、三笘課長は、まったく根拠のないデタラメな説明を大勢の前で行っていた。祇園地区で屋台「天新」を営む佐藤雅三さんは、昨年9月19日に行われた屋台公募の説明会で、自分の屋台が募集場所に入っていない理由を質問。三笘課長は「バスカット(バス停用に歩道を削る)を作ったり、その他の道路工事の予定が有るから」と説明。実際には、そうした事実はなく、後日、佐藤さんに「言い過ぎた」などと訂正。三笘課長からは「10年後は道路がどうなるかわからないから」という発言もあったという。たしかに昨年末、JR博多駅前の道路に大きな穴が開いたが、これでは「理由がありません」と言っているのと同じ。「博多駅にも近いし、免税店がすぐそばにあり、外国人観光客が来店されています。この場所が、なぜ、観光スポットエリアに入らないのか、わかりません」という佐藤さんは引き続き、説明を求めていく考えだ。

【山下 康太】

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