時代をひらく女性たち～三浦法律事務所　三浦紗耶加弁護士（前）

　政府が成長戦略の１つに掲げる『女性の活躍促進』。しかし、今もなお女性の社会進出に立ちはだかる問題が山積みになっているのは周知の事実だ。それでも、多くの試練を乗り越え、社会に貢献する女性は大勢いる。信念を持ち、働く女性の姿は輝いている。女性経営者シリーズ「時代をひらく女性たち」では、分野を問わずさまざまな業界で活躍している女性にスポットを当てる。

　第二回目は、三浦法律事務所の代表弁護士、三浦 紗耶加氏。京都大学法学部、京都大学法科大学院を卒業後、2011年に司法試験に合格した。その後、福岡市内の法律事務所に勤務して経験を積み、16年４月に独立し「三浦法律事務所」を開業した。
　三浦法律事務所が目標として掲げるのが「単なるトラブルの処理・解決ではなく、経営者にもっとも寄り添い、ビジネスにおいて最高の結果を出すこと」である。三浦弁護士は顧問弁護士として法的に会社を守るだけではなく、クライアントが抱える経営の問題を共に解決していく。
三浦弁護士の思い描く「新しい時代の弁護士像」について聞いた。

経営者のビジネスパートナー

　――まず、弁護士になりたいと思ったきっかけを教えてください。

　三浦弁護士（以下、三浦）　小さなころから「誰かの役に立ちたい」という思いが強かったんです。「他人の幸せってなんだろうなぁ」って常に考えているような、今思えば少し変わった子どもでした（笑）。

　社会の役に立つような仕事がしたいという思いから、いろいろ考えた末、法学部に入りました。弁護士を目指すようになったのは、法律を学んでいくなかで「弁護士なら社会の役に立ち、人を幸せにできるのではないか」と考えるようになったからです。

　――司法試験に合格されてからは、福岡の法律事務所に所属して経験を積まれたとお聞きしています。

浦法律事務所　三浦 紗耶加 弁護士

　三浦　そうです。所属弁護士5人ほどの法律事務所だったんですが、主に法人や海外との企業間トラブルの案件を担当していました。そこでは本当にたくさんの経験を積ませてもらいました。幅広い業種、またさまざまなケースの案件を担当できたことが、自分の成長につながったと思います。自分が目指す「弁護士像」が明確になったのも、この時期です。

　――目指す「弁護士像」とは？

　三浦　「経営者のビジネスパートナーとしての弁護士」です。弁護士に相談をするというと、どうしても裁判などの争いのイメージが強く、何だか仰々しく感じて、構えてしまう方も多いと思います。でも、「争い事が起こったときにしか頼れないような距離感ではなく、いつでも近い存在でいたい」と私は考えています。何でも相談できるパートナーのような存在になれれば、もっとその会社のお役に立てると思うんです。

　――なるほど、パートナーですか。

　三浦　はい。企業間の紛争では、主に契約関係に関する訴訟が中心です。例えば、取引先からお金が支払れなかったり、約束どおりの納品が行われないといったトラブルです。そのほかには、特許やライセンス契約に関することや、倒産などの企業経営自体にかかわるご相談を受けたりもします。

　けれども、そういう問題はただ裁判で勝てばいいというわけではないんです。裁判で勝つこと、もっと言えば裁判で争うことが、その会社にとって有益だとは限らないんです。

　裁判は、実は判決が出るまでにとても時間がかかるものなんです。それぞれの主張があり、反論があり、そして裁判官はその２つを合わせて冷静に判断をしていきます。つまり、裁判では莫大な費用と時間がかかってしまうんです。裁判をするだけで疲弊・消耗していく会社をたくさん見てきました。結果的に、その会社には何の問題もなかったと証明されても、その過程で会社が限界を超え、倒産してしまったら何の意味もないんです。ですから、これまで多くの案件を見てきましたが、『これは本当にクライアントのためになっているのか？』と、どこかで釈然としない思いをいだいていました。

　――そういった思いから独立を決意されたのですか？

　三浦　もともといつかは自分の事務所を開きたいと思っていました。前の職場でさまざまな案件を持つことができ、たくさんの経験をさせてもらえたことは本当に良い経験だったと思っています。だた、やはり所属する身である以上、その事務所の方針に従わなければいけないこともある。自分の目指す「弁護士像」を追い求めるには、やっぱり独立しかないなって思ったんです。

（つづく）

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：三浦　紗耶加
所在地：福岡市博多区博多駅前3-30-26
設　立：2016年
営業時間：平日午前9時～午後6時（土日祝は定休日）
ＵＲＬ：http://miura-lawoffice.net/

＜プロフィール＞
三浦　紗耶加（みうら　さやか）
1986年生まれ、福岡県出身。京都大学法学部、京都大学法科大学院を卒業し、2011年、司法試験に合格。福岡市内の法律事務所に勤務し経験を積み、16年春に独立し「三浦法律事務所」を開業。ビジネス戦略を得意としている。