アビスパ 苦境が続く
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J1のアビスパ福岡は4月24日に、リーグ戦第8節のガンバ大阪戦を、ホームのレベルファイブスタジアムで戦った。だが、結果は1−0で敗れた。アビスパは、3月27日の2016Jリーグヤマザキナビスコカップで川崎フロンターレに勝利して今シーズン“初白星”をあげて以降、まだ白星をあげられていない。
熊本地震の発生により、4月16日に開催予定だった第7節名古屋グランパス戦が延期になったなかでのホームゲームの開催で、1万8,508名の観客がスタジアムに駆けつけた。キックオフの直前、スタジアムにいる全員が同地震で犠牲になられた方々へ哀悼の意を表する黙祷を捧げた。
試合開始直後から、両チームとも積極果敢な攻撃を仕掛けて、ゴール前に迫るシーンが幾度も見られた。とくにガンバは、名手・遠藤保仁選手をはじめとした日本代表の経験者をずらりとそろえた布陣。速攻・遅攻を織り交ぜながら、アビスパゴールを再三脅かし続けた。対するアビスパは、DF・堤俊輔選手を中心とした統制のとれた守備で、ガンバの攻撃をブロックし続けた。守備陣だけでなく、アビスパの持ち味である全員守備も光っていた。前半は、両チームとも得点できずに終了した。
後半は、ガンバが速攻・遅攻とフィールドを縦横に使いながら、ロング・ショートパスを駆使し、ジリジリとアビスパのゴール前を攻める。厳しいシュートを放たれながらも、GK・イボムヨンの好セーブでゴールマウスを堅守。そして前半に引き続き、全員守備も徹底されて、ガンバの厳しい攻撃を阻止した。
しかし、ガンバは67分に、“ハリルジャパン”のストライカーとして期待される若きエースのFW・宇佐美貴史選手を投入。宇佐美選手はフィールドに入ると同時に、自慢のスピードと巧みなドリブルで、アビスパの守備陣に果敢に切り込んだ。アビスパも懸命にマークしていたが、79分に宇佐美選手の精妙なコントロールされたボールにより、先取点を許した。
その後、アビスパは、バイタルエリアでの攻防でガンバ守備陣と鍔迫り合いを行うも、得点に至らずタイムアップ。リーグ戦での初勝利をあげることができなかった。試合後、アビスパの井原正巳監督は「ボールを持っているときの余裕や1人ひとりのボールの持ち方、動かし方、1対1の強さなどで、アビスパの選手より上回っております」と、対戦したガンバの選手個々の能力の高さを認めていた。それでも井原監督は、アビスパの選手は90分間ハードワークして、チャレンジ精神を持ちながら、最後まで戦う姿勢を継続できたことを評価していた。
90分間のなかで、ゲームフィットネスはJ1の水準に達してきていると見る。選手個々のスピードもしかりだ。一方で、井原監督がコメントしているように、細かなテクニカルな部分では、J1の強豪レベルに達するためのトレーニングが必要と感じた。また、ガンバの遠藤選手にゲームを掌握されていたことを見て、アビスパにおいても絶対的なゲームコントローラーが必要である。FW・ウェリントン選手は、どのクラブも綿密なスカウティングによって対策を講じて的中している。他の戦法のオプションをもっとトライアルすることで、現況を打破してもらいたい。
ただし、敗れたとはいえアビスパは、たしかに前進している。結果にはつながっていないが、いつもの“全員守備”が徹底され、1対1での“ファイト”もアグレッシブさが戻ってきている。細かなテクニカルな部分の精度をより高めれば、リーグ戦勝利は見えてくる。
【河原 清明】
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