エンターテイナーか大経営者か、堀江貴文氏はこれからどんな道を歩むのか
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4月下旬、筆者は北海道大樹町という場所を訪れた。堀江貴文氏が住民票をここに移してまで取り組んでいるロケット開発を取材するためだ。「インターステラテクノロジズ」という会社のオーナーとして、低コスト小型ロケットの実現を目指しているという。
季節外れの雪が降りしきるなか、車で移動中にふとラジオを付けてみた。すると、ちょうど堀江氏を話題にしていた。熊本地震によって堀江氏が出演予定だったバラエティ番組が中止されたことを受けて、堀江氏がツイッターで「バラエティ番組の放送延期はまったく関係ない馬鹿げた行為。人のスケジュールを押さえといて勝手に何も言わずキャンセルするとはね。アホな放送局だ」と非難。それに対し、教育評論家の尾木直樹氏が「普段通りの楽しい番組構成にブレーキかかるのはあまりにも当然!人間らしい共感能力あれば自粛して工夫しようとするのはあまりにも当然!」と、暗に堀江氏を批判したことがテーマだった。
これに対しリスナーは「堀江さんの言うこともわかります」と擁護する一方で、「番組がなくなって良かった。堀江は嫌いだし顔も見たくない」と毛嫌いする意見もあった。ラジオMCは「たしかに堀江さんの言うことはその通りなんですが、率直すぎて元も子もない言い方ですよね。大人なんだからもう少しオブラートに包みましょうよ」と伝えていた。このやりとりは、今の30~40代が抱く感想としては象徴的だ。端的に言えば「賛否両論」なのだ。ところが、これがもう少し上の世代になると「堀江氏が嫌い」という人が圧倒的に多くなる。
ちなみに筆者は30代半ば。堀江氏がライブドアで羽振りの良かったときは、まだ学生だった。しばしばテレビで見かけていたが、実業家というよりは、エンターテイナーのイメージが強かった。当時は人間的に好きになれる要素が見受けられなかったが、一方で近鉄買収、フジテレビ買収、選挙出馬、逮捕という怒涛の人生に興味を引かれていたのもたしかだ。
初めて直接取材したのが2008年12月、あえて六本木ヒルズの会議室を選ばせていただいた。あの「ライブドア事件」の舞台となった場所だったからだ。この日は東京高裁が1審の実刑判決を支持し、即日上告した後だった。
まさか会えるとは思っていなかったので緊張していた記憶があるが、会話はたしかに「オブラートに包む」という発想はまるでなく、自分が正しいと思うシンプルな数式と解答を提示する。それゆえ、物事の伝え方がシンプル過ぎて自ら誤解や曲解を招いているな、という印象を受けた。ちなみに最近の堀江氏は、ほうぼうにきつい口調で噛みつくことで、あえて話題づくりしている面もあると思われる。ビジネスを見てみると、グルメやマンガのキュレーションサイトなど、稼ぐことよりも自分が楽しいと思えることを優先しているように見える。その極致が、冒頭の宇宙開発だ。
これだけ世代によって、毀誉褒貶がはっきり分かれている人物も珍しい。はっきり言えるのは、エンターテイナーとしての能力はピカイチだということ。堀江氏を慕う若い世代も多いのはたしかだが、経営者としての能力が、将来どれだけ伸びるのかは未知数だ。堀江氏は今後、どんな道を歩んでいくのだろうか。【大根田 康介】
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