韓国経済ウォッチ~イラン発第2中東ブームは本物なのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
先週、韓国の朴謹恵(パク・クネ)大統領はイランを訪問し、イランのロウハニ大統領と首脳会議を開いた。首脳会議後の韓国側の発表によると、韓国はイランから合計約456億ドルのプロジェクト受注がほぼ確実になったとしている。両国政府と企業は、インフラ、エネルギー分野などの30個のプロジェクトで、66件の合意文書(MOU)を交わし、そのプロジェクトの合計額は456ドルに上るという発表である。
このような成果は、韓国外交史上最大のもので、まさに第2の中東ブーム到来を予見させるものである。イランは、核開発をめぐって欧米から経済および金融制裁を受けていたが、今回その制裁が解除され、世界各国から熱い視線が注がれている。今回は、韓国で急速に関心が高まっているイラン市場について触れるとともに、その成果の是非を検証してみよう。
イランと韓国は、1970年代から外交関係を維持してきた。ソウルには、イランの首都であるテヘランという道路名が存在するほど、イランは韓国人にとって、中東の国のなかでは比較的に親近感を持たれている国である。
イランはご承知のように、歴史的には昔のペルシアで、一世を風靡した国でもある。イランは、シーア派の盟主として、スンニー派の盟主であるサウジアラビアと、中東での覇権を争っていることも周知の事実である。イランの国土面積は、165万km2で、日本の国土面積の4.4倍、韓国の国土面積の7.5倍の面積を誇っている。人口は7,800万人を抱えていて、巨大な内需市場になり得る。2014年のGDPは、4,041億ドルで、中東第2の経済大国である。また、イランは中東のなかでは教育水準の一番高い国で、大学進学率は13.3%に達している。さらにイランは資源大国で、天然ガスの埋蔵量においては、世界最大規模。原油の埋蔵量においては、世界4位である。
このような経済成長のポテンシャルを持っているイランではあるが、79年にイラン革命を経験。イラン革命によって、イスラム宗教指導者であるホメイニー師がイランの最高権力者になった。
その後イランは、アメリカと対立する路線を歩み始める。それだけでなく、イランは核開発の疑惑を持たれ、国際社会から経済・金融制裁を受けることになる。欧州は12年にイランからの原油の輸入を禁止した。ところが、新たに誕生した穏健派である今のロウハニ大統領は、米国の核査察などの要求を受け入れ、イランは欧米と核開発をめぐって最終合意を遵守し、制裁解除に至る。その結果、今年の1月16日に、イランの経済制裁は解除されることになった。イランの経済は、長期間の制裁によって、かなり疲弊していた。そのため、インフラの整備を含め、資源開発、それから今後、所得の増大による需要の拡大が予想され、大きな商機が期待されている。
イランは制裁が解除されたことによって、まずは原油販売代金などの1,000億ドルの海外凍結資産を取り戻すことができ、資金を手にすることになる。また、イラン政府は2020年までに、214兆ウォン規模の大型建設プロジェクトを発注する計画があると発表するなど、数々のプロジェクトが動き出すことになっている。さらにイランでは、航空機も老朽化が進んでおり、今後10年間で500機前後の航空機の需要もあるという。
(つづく)
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