中国経済新聞に学ぶ~習首席ブレーンの劉鶴氏
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中国共産党機関紙「人民日報」が5月9日、匿名の「権威筋の人物」による「中国経済はL字型」などと、現在中国経済が直面する課題に関する評論を掲載した後、国内外にこの謎めいた「権威筋」について様々な憶測がながれた。
ロイターによると、ある匿名の専門家は、「権威筋」による中国経済についての評論は4月29日に行われた中央政治局会議の内容で、評論は最高指導部の意見や発言を書く専門スタッフが作成したものだと指摘した。
また多くの中国メディアは、政府の方針を多く明らかにした「権威筋」の評論からみると、「権威筋」は中央経済指導小組弁公室(中財弁)、国家発展改革委員会(発改委)など、中央政府の政策の策定や実行に関わっている高官である可能性が高いと分析した。数多くの高官の中では、習近平国家主席の主要経済ブレーンを務める劉鶴氏がその代弁者である可能性が最も高いと推測した。「彼は私にとって極めて重要だ」
現在中財弁の主任を務める劉鶴氏について、習主主席は2013年訪中の米国トム・ドニロン前大統領補佐官に、「こちらは劉鶴だ」、「彼は私にとって極めて重要だ」と紹介したことがある。
中財弁の役目は重要な経済政策文書の作成のほかに、習主席や中央政治局常務委員に提案と意見を行うこともある。
劉氏が13年3月に中財弁の主任就任以降、中財弁はこれまでの「1人の主任と3の副主任」体制から「1人の主任と6人の副主任」体制に拡大した。
主任の劉鶴氏は主に経済体制の改革を担当する。他の副主任はそれぞれ金融市場や国内経済発展計画や財政や国際業務などの面を担当する。
劉鶴とは何者か。鄧小平が改革開放政策を始めてまもないころ、改革派官僚が集まった国務院発展研究センターに一時籍を置き、米ハーバード大学ケネディスクールにも留学したことで、欧米では「改革派」と見られているが、めがね違いだ。中国人民大学の教官から計画委員会入りした典型的な計画経済官僚だ北京第一○一中学の同級生
劉鶴の経歴で特異なのは、年齢が習近平より一歳年上だが、北京第一○一中学(高官の子供の専用学校)の同級生だったことである。一○一中学は党高官の居住区にあり、劉鶴も党や軍の高官の二世「紅二世」の一角にいるのだ。
文革で中学が閉鎖され、習近平は父の実家のあった、陝西省、劉鶴は吉林省の農村に下放された。文革終了後、習近平は北京・清華大学に推薦入学で戻ったが、劉鶴は首都防衛担当の「第三十八集団軍」に入隊し、その後、北京の中国人民大学に入学した。
第三十八集団軍の前身は満州で関東軍と戦った東北民主連軍で、共産党東北局の指導下にあった。東北局は元北京市長の彭真ら保守派の幹部を輩出している。吉林、三十八軍という経歴からみて父親は軍人だろう。
一○一中学、文革体験、軍隊生活、革命家系の自負。これほど習近平の琴線に触れる経歴を持った人物はいない。昨年末から習近平は、「高度成長の時代は終わった」という「新常態」論を口にしているが、これは劉鶴の発案だという。鉄鋼やセメントなど国有企業の過剰生産能力のはけ口を外国輸出に向けるという「走出去(外に出て行こう)」という政策も劉鶴がまとめたとされている。劉鶴(1952年生まれ、北京市出身)は、経済発展領域、マクロ経済政策動向、新経済研究及び会社管理機構の研究に於いて、かつてより、江沢民、胡錦濤、習近平三大の中国最高指導者に経済演説草案を起草したと伝えられている。アメリカの≪ウォールストリート・ジャーナル≫紙が、中国経済政策に於けるキーマンたる、中央財経指導小組弁公室主任、国家発改委副主任の劉鶴を紹介した。記事には、中国の今後十年の経済計画制定者として、劉鶴は、中国プラグマティズムの一例であると、述べられ彼は、金融等領域で、さらに積極的な開放をもたらすが、一方、極めて我慢強く漸進的改革の堅持もあり得るとしている。ウォールストリート・ジャーナル紙は表明する。劉鶴を中国新経済計画のグランドデザイナーとして、外界に希望の火を着けた。即ち、マーケットの改革者は、風上を占拠することになるだろう、と。
劉鶴は、習近平が極めて重視しているブレーン型学者である。そして、彼は、中央経済工作会議における習近平の演説草稿を書いている。「一帯一路」の立案者
「軍師」と呼ばれている中央政治局委員、党中央政策 研究室主任王滬寧と同様に、劉鶴が「多士済々」のブレーン集団の中で、その一角を占める大きな理由は、中央経済プランおよび中国経済の実際状況に対し、掌を指すような明確な理論にある。彼は、「第八期五カ年計画」から「第十三期五カ年計画」まで、全てに身をもって参画し、中国の経済状況を熟知しており、特に、「党の経済工作に対する指導強化」の研究において、習近平の経済施政の面で建言献策となるだろう。そして、城鎮化(都市化)建設、産業構造の合理化高度化面の研究も、また今日の習近平体制化の中国政府が大々的に提唱する経済テーマである。
世界の目を集めた「二つのシルクロード計画」(一帯一路)は、習近平の中央アジア歴訪に同行した王滬寧と劉鶴が立案したもので、ロシア、中央アジア諸国とのエネルギー戦略が柱だった。これにユーラシア高速鉄道、インド洋港湾建設という巨大プロジェクト建設をからめ、中国国営企業の生き残り策にしたのも劉鶴。世界が注視するアジアインフラ投資銀行の行方を左右する人物である。中国経済新聞を読もう
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