パナマ文書の衝撃とその余波(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
最近、「パナマ文書」に関する記事が多くなっている。この文書が暴露されたことによって、アイスランドの大統領は辞任に追い込まれたし、イギリスのキャメロン首相、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領なども、よからぬことに何らかの関係があるのではないかと疑いの目が向けられ、苦境に立たされている。タックスヘイブンという世界は、一般庶民にとっては、馴染みの薄い世界ではあるが、この問題の本質を理解しておくことは、とても大事であると筆者は思っている。
今回、パナマ文書とはどのようなもので、なぜ世界的にこれだけ騒がれていて、今後、世界経済にどのような影響を与えるのかを取り上げて見よう。
パナマは、カリブ海にある小さな国である。このような小国は、もともとこれといった産業もないので、会社設立をとても簡単にできるようにしたり、法人税などをゼロまたは非常に低く設定し、世界から資金を集め、そこから手数料を発生させることで、収益を得ている。パナマのような地域をオフショアと言い、オフショアはそのようなサービスを提供する地域を指すこともある。
そのオフショアのなかには、「タックスヘイブン(租税回避地)」が存在する。なので、オフショア=タックスヘイブンというわけではない。それでは、一体なぜタックスヘイブンに対する需要が多いかというと、税金は基本的に水際で止まるという性質があるので、税金がないか、低いオフショアに拠点を持つことで、課税対象をそちらに移し、節税をしたいという需要が企業および個人にあるからだ。
このようなタックスヘイブンは、世界的に数十箇所もある。一番有名な英領のバージンアイランドをはじめ、ケイマン諸島、バミューダ、香港、シンガポールなど、いろいろな地域がある。
世界のほとんどの大手金融機関は、タックスヘイブンに法人を持っている。8,000くらいのヘッジファンドも、ほとんどタックスヘイブンに法人を持っている。それだけでなく、数十万名の個人も、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを持っていることで知られている。
米国企業の場合は100社中83社が、欧州企業の場合は100社中99社が、タックスヘイブンに法人を持っているという統計もある。金融、貿易の世界では、タックスヘイブンは普遍的なことになっていると言ってもいいくらいである。このようにタックスヘイブンが普遍的になっているなかで、今回のパナマ文書の漏洩は、なぜ発生し、何が問題なのか――。
今回のパナマ文書を、匿名の人から最初に入手したのは、南ドイツの日刊紙である。しかしパナマ文書は、その後、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に渡され、世界の400名ほどのジャーナリストが協力し、調査と分析を進めた。その結果、マスコミに報道されるようになった。
それでは、パナマ文書とは何なのか――。(つづく)
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