韓国発断熱革命!発泡ポリウレタンに新技術(1)
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ひょんなことから革新的技術は生まれることがある。韓国のシリコンバレー、Pangyoに本社を構えるリードパワー社(以下、リード社)。壁一面に映像モニターを配してさまざまな映像を映し出す「ウォールコントローラー」で、韓国トップシェアを誇る会社だ。ハリウッドなどから映像コンテンツを映し出す。この仕組みをつくって韓国では引っ張りだこの企業である。この会社がなんと、断熱材市場に参入してきたのだ。ことの始まりをリード社・社長の金光列社長はこう振り返る。
「ウォールコントローラーでハリウッドなどの映像コンテンツを日本に売り込みに行ったのです。偶然、そこで寿司の輸出業者の悩みを聞きました。冷凍車の保温に問題があり、魚の歩留まりが悪く原価をかさ上げしている、というのです。それはおもしろいニーズだと思い、私たちも冷凍車の開発に携わることになりました。エンジンやシャシーといった車に関するものは日本企業が、冷凍のための発電機の開発を私たちが担当する、ということになったのです。正直言うと、あまり深く考えずに申し出を受けました(笑)」。
冷凍車はかなりニッチな産業だ。食品などの輸送には欠かせないのだが、一般的には直接的なつながりはない。それゆえ、問題があっても解決されないままになっていることがある。だが、冷凍車の保冷問題は、それを使う人にとっては重大な問題となる。製品の生き死にを決定づけてしまうからだ。寿司の輸出業者にしてみれば、まさに企業の採算性に直結する大問題なのである。そのソリューションを、電気に強いとはいえ、ウォールコントローラーの企業に託されたのである。稀有なきっかけだ。
リード社は徹底的に現行の冷凍車を研究した。そして小型で高効率の発電機の開発に着手したのだ。だが、まったくうまくいかない。投資した金額は40億円にもおよぶという。ついには新たな冷凍車の開発を日本企業があきらめることに。けれども金社長たちはあきらめなかった。工場を増設し、研究・開発体制の強化に努める。なぜそこまで冷凍車にこだわったのか。金社長は大きな可能性を感じたからだと語る。
「調べてみるうちに、改良すべき点が明確になり、それを改善することができれば大きな市場価値を生むという確信がありました」(金社長)。
(つづく)
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