山口FG社長交代の深層に迫る(4)
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田中耕三相談役は、2002年6月に相談役に就任して以来14年、今も毎日山口銀行本店に出社しており、その権勢はいまだに衰えていないと言われる。
山口銀行の事情に詳しいOBは、「福田浩一頭取は就任から12年、山口FGの社長は10年になる。しかし福田氏にとっては2004年5月21日の取締役会議で、前任の田原頭取罷免のクーデターを指揮して、自分を頭取に引き上げてくれた田中相談役に退任を迫ることができなかった。要するに、頭取交代劇がトラウマとなっているからだ」と語る。
続けて、「それを裏付けるような出来事があった。4月26日、山口銀行の退職者で組織されている『清交会』(会長末広馨氏)の総会が山口銀行本店で開催された。田中相談役はその後の懇親会に出席していたが、銀行のトップである福田頭取は欠席。好対照の動きに、一般会員からは、『代表が欠席するとはOBを馬鹿にしている』との声が上がった」と話す。別のOBは、「頭取交代劇で守旧派だった末広会長(72歳)、西原克彦副会長(71歳)などは、年下の福田頭取(63歳)ではなく、田中相談役(90歳)の方を向いている。末廣氏は、山口銀行OBを束ねる清交会の会長。副会長の西原氏は内規の停年である70歳を超えて、関係会社ワイエムリースの社長からワイエム証券の社長に就任(6月13日付)。これこそ、田中相談役がいくら歳を重ねても、現役で影響力を持っている証拠だと思う」と話す。
4月26日に福田頭取が清交会を欠席してから約半月後の5月13日、福田浩一社長(兼山口銀行頭取)の突然の退任が発表された。後任には吉村猛取締役(56歳)が昇格し、福田氏は代表権のない会長(同山口銀行)に退くことになった。
その間、一体何があったのだろうか――。調べを進めていくと、6月に入ると福田社長が主要取引先との会合にも姿を見せなくなり、病気で入院しているのではないかとの話が伝わってきた。福田社長は、14年6月に北九州銀行ともみじ銀行の取締役会長に就任。そのため北九州銀行の加藤敏雄頭取(68歳)やもみじ銀行の野坂文雄頭取(67歳)は、退任後のポストを福田氏に奪われたと憤慨していたと言われる。しかし今回の役員異動で、福田氏は両行の非常勤の取締役に下り、加藤氏と野坂氏は代表権はないが、それぞれ会長ポストに留まることになった。
人事抗争があったかどうかはわからないが、もし福田社長が重い病にかかっているということであれば、辻褄が合うのだ。それを采配したのは、田中相談役と見られている。山口FGと山口銀行を自らが掌握。そして加藤氏を北九州銀行の会長。野坂氏をもみじ銀行の会長。西原氏を関連会社のワイエム証券社長に据えておけば、すべてをコントロールできるというのだ。いよいよ明日6月29日(水)午前10時より、山口FGの定時株主総会が開催される。田中相談役が徳山の自宅に戻るのではないかとの話も聞かれるが、決して相談役から下ることはなく、今後も院政を続けていくとの見方が有力だ。
(了)
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