2024年12月24日( 火 )

【熊本地震】九州新幹線の驚異的な復旧力

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 平成28年(2016年)熊本地震の発生により、熊本市内を中心に甚大な被害をおよぼした。住居・建築物の全壊の発生と同様に、交通網も崩壊。そのようななか、九州新幹線が予想を遥かに超えるスピードで全線復旧を実現させた。

交通網崩壊も急ピッチで復旧へ

yatusiro 九州新幹線・鹿児島ルート(博多-鹿児島中央間、256.8km)は2016年3月12日、全線開通から5周年を迎えた。沿線各地は、祝賀ムードに包まれ、今後さらなる発展と進化に期待を寄せられていた。

 だが、約1カ月後の4月14日以降、群発地震「平成28年(2016年)熊本地震」が発生し、最大で地震規模マグニチュード(M)7.3、震度7に達する地震群が、甚大な被害をおよぼした。九州新幹線も大きなダメージを受け、新幹線が走る熊本市や玉名市で、震度6弱を観測した。その後も連日、震度3程度の地震が継続して発生した。

 この地震で、熊本駅から南の熊本総合車両所へ向かっていた九州新幹線の800系車両(6両編成)が、駅の1.5km南で脱線。回送車だったため乗客はいなかったが、48車輪のすべてが脱線した。さらに、新玉名-熊本間などで営業運転中の列車3本が緊急停止した。不幸中の幸いで、乗客に怪我などの被害はなかった。

 しかし、九州新幹線は全線で運休した。その後、段階的に運行が再開され、4月中には全線で復旧を果たした。九州道および熊本市内を中心とした幹線道路、橋梁など、輸送のインフラ復旧が急ピッチで進められ、1週間から10日前後の短期間で整備され、走行可能とした。九州の大動脈である九州新幹線は、精密な耐震構造がなされていたが、橋脚や防音壁など約150カ所で損傷を受けたとされる。とくに新玉名-新八代の区間にそれらが集中していた。想定以上の被害の大きさで、早期の復旧が絶望視されたなか、JR九州は他地区のJRの応援もあり、地震発生からわずか13日で全線復旧を実現させた。改めて我が国の建設の技量の高さが証明された。

過去の大震災を教訓に迅速に対応

 その一例が新八代駅である。同駅は、ホーム下のコンクリート柱の根本が粉々になるという被害を受けた。もしも再び震度6、7規模の地震が発生すれば倒壊してしまう危険があった。同駅の工事を手がけた九鉄工業(株)は、いち早く高架をジャッキで支え、基礎コンクリートを修繕・修復する工事を実施した。

 同駅の復旧工事について同社の土木担当者は、「この震災が発生したことをきっかけに、新八代駅のホームをより良くして、修復させていきます」とコメント。その他の路線においても、「新幹線の高架へ迅速にジャッキで支えて、復旧工事に全力を注いだ。この迅速な対応があったからこそ、最小限の被害で抑えられた」(熊本県内の建設業代表)としている。過去の大震災(阪神、東日本)を教訓とした対応であった。

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【河原 清明】

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