アビスパ、ベテラン奮闘もドロー
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J1のアビスパ福岡は、7月30日にリーグ戦2ndステージ第6節をベガルタ仙台とホームのレベルファイブスタジアムで対戦。結果は、1-1の引き分けとなった。アビスパは、1st、2ndステージ合わせた23試合で、3勝13敗7分勝ち点16。依然として年間順位最下位である。
福岡市内は連日の猛暑と湿度の高さで、日常生活においても厳しい気候となっている。試合当日のキックオフは午後6時半にもかかわらず、気温29℃、湿度77%と、選手にとって厳しいフィールドのコンディションであった。
その厳しいコンディションにもかかわらず、試合の序盤8分にアビスパFW坂田大輔選手の巧みなドリブルから強烈なシュートを合図に、その後両チームとも積極的な互いに攻撃を仕掛けた。それぞれの堅守でゴールを割らせなかったが、36分、右サイドでベガルタMF奥埜博亮選手とDF大岩一貴選手の秀逸なパスの連携で福岡の守備を完全に崩すと、フリーとなったFWウイルソンにボールが渡りゴール。1-0と仙台に先制を許した。その後も互いにチャンスをつくるも得点に至らず、前半終了。後半は、開始早々からアビスパが試合の主導権を握る展開となった。果敢に攻勢に出るアビスパは、ベガルタのゴール前に再三迫り続ける。そして57分、右サイドから、アビスパMF城後 寿選手のロングスローがベガルタのゴールのニアサイドへ。そのボールに坂田選手がダイレクトに合わせたシュートが決まり、1-1の同点に追いついた。その後もアビスパは、MF金森健志選手の豊かなスピードと巧みなドリブルで突破し、再三ベガルタのゴールを狙うチャンスをつくるも得点に至らず。片やベガルタも防戦一方のなか、素早いカウンターアタックでアビスパのゴール前に迫るも、アビスパGK神山竜一選手の好セーブや守備陣の粘りで、得点を許さなかった。その後、アビスパは85分にFWウェリントン選手を投入し、攻撃態勢を強めるも得点に至らず、タイムアップ。1-1のドローに終わった。
好調なベガルタの堅守速攻のスタイルを緻密にスカウティングしたアビスパは、選手1人ひとりが役割を全うし、1失点を許したものの、安定した守備が戻ってきた。心身を張り、ベガルタのボールを獲得するシーンが数多く見られた。攻撃においても、サイドと中央のスペースともに素早いパス・ドリブルを駆使しながらゴールを狙い、幾度も得点チャンスはあった。それでも1得点に終わったのは、まだまだ相手の守備陣を崩しきれていないことが要因だ。アビスパの課題は、攻撃の精度をより向上させていくことだ。貪欲にゴールを狙う姿勢は、全選手から伝わっている。パスとドリブルの精度をもっと高め、ボールと一体となるくらいのボールコントロールが必要ではないだろか。現在も、不用意なパスによるボールカットから反撃されるシーンや、ボールキープの甘さからマイボールを奪われるシーンが散見される。さまざまな見方があるだろうが、ボール支配率を相手より高めて、チャンスをつくり出す機会をより多くすることが、アビスパには必要だと思われる。
リーグ戦残り11試合。J2降格圏内から脱出するための厳しい戦いが、今後も続く。アビスパの周辺から、ネガティブな評論が飛び交っていることはたしかだ。それでも厳しい戦況のなか、ベテラン選手の奮闘が光る。フィールドプレイヤーへの明確なコーチングと果敢な好セーブでピンチを救うGK神山選手。日本代表、海外クラブそしてJ1など経験が豊富で、優れたスキルと戦術眼、そして攻守共率先したハードワークを実践するFW坂田選手。ベテランが献身的に支えるチームは、必ず上がってくる。そのベテランこそが、神山・坂田両選手である。期待したい!
【河原 清明】
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