不動産事業に経営資源を集中、企業基盤を固め、利益向上を目指す(後)
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(株)アールズエバーラスティング
アールズプレイスアゼスト高島平は完売、購入物件の自社ブランド化に手応え
昨期は収益が見込めなかった水の貿易事業から撤退し、グループの通信会社は清算した。決算ではこれらを特別損失として計上したほか、KBCオーガスタゴルフの冠スポンサー料を広告費として数年に渡って按分計上している。そのため、利益は減少したが、バランスシートは至って健全な数値にまとまり、同社の安定経営を証明した。
今期は売上目標を抑えめの50億円程度と見込んでいる。昨期が急激な増収だったため、企業基盤をしっかり固めながら、利益率のアップに注力する考えという。「投資型マンションは何より立地が最優先され、銀行もマンションが立つ場所を見て評価していきます。東京エリアは家賃がしっかり取れるところなら、都内でなくても構いませんが、福岡は西鉄やJR、地下鉄の沿線といった交通アクセスが良いところになります。自社開発については土地探しや建築費の高騰から無理はせず、チャンスがあればという感じで見ています」(石村社長)。
自社でも物件を所有し、収益を上げていくという手法もあるが、同社ではキャッシュフローを優先し、すべて販売してきている。ただ、15年9月に取得した「アールズプレイスアゼスト高島平」(全37戸)は、販売が順調に進んで16年2月に完売。石村社長は購入物件でも十分に自社ブランド化できるとの手応えを感じた様子だ。販売エリアの比率は福岡6割、それ以外の地域が4割。福岡では好立地の物件は少なく、入手できたにしても、採算ベースに乗せることは難しいという。一方で、民泊やシェアハウスへのニーズが高まっていることから、営業上はこうした切り口も推奨していくという。東京エリアはまだまだ投資意欲を喚起できると読み、石村社長自ら月3回は上京し、紹介先を広げている。
役割分担と権限、責任の明確化、石村社長は重要な取引に集中
アールズエバーラスティングは、設立から「大壁粉砕」をスローガンに営業展開を行ってきた。と言っても、それは石村社長の1人の人脈づくりや営業力に頼るところが大きかった。
しかしここ数年はブランディング、人材の成長、選択と集中、事業の明確化において成果をともない、まさに会社はブレイクスルーするまでに成長した。とくにマンション販売の売上比率が石村社長と営業スタッフとで逆転したことは、業務を組織的に行えるよう内部体制を構築する段階にきたことを意味する。「営業が4名おり、そのうち1名は女性です。彼らが実績を上げられるようになり、人材も定着してきています。田中専務以下の人材を適材適所に配置したことで、責任や役割分担が明確化になり、組織が機能していると感じます」(石村社長)。
石村社長は相互に内部牽制が働くように業務を分轄して、適性を持つスタッフに割り当ている。権限委譲という言葉はあえて使わないが、現場の機動性を勘案しつつ、権限と責任を明確にしている。
もっとも、権限を委譲しても責任は回避できないため、定期的に報告を受けてチェックする。東京エリアの物件ように今後は重要になる取引ついては権限委譲せず、自らが立ち合い、承認を行っていくようである。飲食事業(ライブハウス運営)は好調なため継続中だ。4月には場所を中央区の薬院から清川に移転。これまでできなかった大きなイベントにも対応できるという。オフィスのエントランスには、同社の事業内容を示すパネルが置かれている。今期はそこから保険と貿易が外れ、不動産の販売・管理、賃貸、コンサルティングといったコア事業に経営資源を集中していくことになる。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:石村良平
所在地:福岡市中央区渡辺通5-13-11天神渡辺通ビルディング4F
設 立:2009年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-739-6700
URL:http://www.rz-e.com<プロフィール>
石村 良平
1975年、福岡県古賀市生まれ。専門学校を卒業後、いくつかの職業を経験。27歳でマンション投資会社に勤務した後、34歳で独立を果たす。趣味は音楽。関連キーワード
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