伸也被告人に懲役28年、筑後リサイクル事件判決
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妻との包括的な共謀認定、主導したのは妻
福岡県筑後市のリサイクル店を経営していた夫妻が元従業員ら3人の殺人や傷害致死などの罪で起訴された事件(裁判員裁判)で、福岡地裁(平塚浩司裁判長)は8月8日、夫の中尾伸也被告人(49)に懲役28年(求刑無期懲役)の刑を言い渡した。死亡した3人のうち唯一殺人罪で起訴された元従業員について、殺人罪の成立を認めず、傷害致死罪の共同正犯の成立を認めた。妻の知佐被告人(47)への一審判決(6月24日。検察側、弁護側双方が控訴)でも、殺人罪の成立を認めず、懲役30年(求刑無期懲役)を言い渡していた。
平塚裁判長は、「暴行の常習性は顕著で、わずか4歳の幼児を含む3人が死に追いやられた過程は陰湿というほかなく、その結果は余りにも重大」と指摘した。犯情について、「傷害致死事件の中で極めて重いもの」と厳しく批判した。
判決によれば、伸也被告人は、知佐被告人と共謀し、不始末を繰り返す従業員には言って聞かせても分からないから暴力を振るうという方針を確立させていた。当時従業員だった古賀雄喜氏(当時19歳)は日常的な暴行を受けて、2004年5月末頃から同年6月中旬頃までの間に、住み込みをしていた被告人自宅アパートで死亡(傷害致死罪の時効が成立しているため不起訴)。古賀氏の死亡後も、日高崇氏(当時22歳)が不始末をするたびに両被告人からの暴行が繰り返され、住み込みをしていた被告人自宅アパートで、2004年6月下旬頃に死亡した。義弟で当時従業員だった冷水一也氏(当時33歳または34歳)とその息子大斗くん(当時4歳)にも暴行を繰り返し死亡させた。
判決は量刑判断にあたって、「それぞれの犯行の枠組みを主導したのは知佐被告人」と認定。知佐被告人主導や、伸也被告人が被害者らの死亡の事実を認め、事案の一定の解明に資したことを挙げて、知佐被告人と同等の責任とまでは断じ難いとして、法律上許される上限近い刑を選択した。
検察側は、殺意が認められなかったことや量刑を挙げて、「当方の主張が受け入れられず遺憾である。判決内容を精査して、上級庁と協議して適切に対応したい」とコメントしている。
弁護側は、大斗くんの傷害致死に関して包括的共謀が認定されるなど主張が認められなかったところもあり、控訴するかどうか検討するとしている。知佐被告人主導がある程度認められたことは評価した。
【山本 弘之】
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