マシュマロを極めた自信と手応え、革新する経営術は次代にも継承(前)
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(株)石村萬盛堂
全日空機内販売で好調な売れ行き、マシュマロの再評価に手応え
昨年12月で創業110周年を迎えた石村萬盛堂。老舗菓子舖としての揺るぎない地位は、先人職人による菓子づくりへの情熱と創意工夫で生まれたのは言うまでもない。
看板商品の「鶴乃子」は、同社が米国渡来のマシュマロをアレンジして開発した。柔らかくて口溶けが良く、鼻に抜ける風味の良さが、時代を超えて多くの人々に愛されてきた。今日では桜、抹茶、栗など新しい世代、嗜好の変化に対応した派生商品も登場している。お菓子は御土産や贈り物など、人と人を結びつけるコミュニケーションツール。「バレンタインデーのお返しにマシュマロを贈ろう」と同社が仕掛けた『ホワイトデー』は、その代表格。伝統の技と味を守り抜くだけでなく、積極的に前を見据えて新たなムーブメントを創出する。
これも同社が決して怠らない経営革新の賜物であり、鶴乃子、マシュマロに注ぐ人一倍の愛情ゆえだ。目下、全日空の国内線機内販売「ANA MY CHOICE」では、同社のチョコマシュマロ・コーヒーマシュマロが好調な売れ行きという。機内でしか買えないという付加価値が奏功したということだ。「最近、マシュマロが結構見直され始めています。市場規模は全国で年間100億円程度。それを5社で分け合い、当社がそのうちの20億円です。今は言わば、スーパーニッチ市場。当社が20億円、30億円を積むことで、さらなるシェアアップを目指すということです」と、石村僐悟社長は冷静に分析する。
同社は、マシュマロをベースに開発した「鶴乃子」を、日本を代表する銘菓に育て上げた。それが第一次の革新とすれば、桜や抹茶味の鶴乃子で定番の売上を落とすことなく、マーケットを拡大したのが第二革新期。それらの手応えをベースに、次なる販売戦略をどうするか。石村社長のなかでは構想が練られているようで、ご子息がその中心メンバーとして舵取りを担う日は近い。(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:石村 僐悟
所在地:福岡市博多区須崎町2-1
創 業:1905年12月
資本金:9,500万円
TEL:092-291-2225
URL:http://www.ishimura.co.jp<プロフィール>
石村 僐悟
1971年、東京大学経済学部卒業後、(株)石村萬盛堂入社。79年、3代目として代表取締役社長に就任。その後、洋菓子「ボンサンク」、和洋菓子の総合店「いしむら」を展開し軌道に乗せたほか、ホワイトデーの提案等、自社のみならず業界全体における革新的な取り組みを行っている。趣味は謡曲と読書。法人名
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