2024年12月22日( 日 )

カリスマオーナー型経営から脱皮し、自立的に動く開発型企業を目指す(後)

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(株)ジャパンシーフーズ

今までにない商品をつくり魚に付加価値をつけていく

対馬工場外観<

対馬工場外観

 水産加工ではスピーディーな作業、魚の味を落とさない鮮度管理など技術的には単純な部類にはなるが、誤魔化しようがない難しさがある。また、機械による加工自体も当然ながら手作業に比べれば質が劣り、そこでも付加価値をつけにくい。
 幸いここ1年は魚価が安定しているので利益も順調に出せているが、昨年までの3年間は異常とも言える高値相場が続いており、一方で量販店の店頭価格は一定なため卸値には反映できず、単月で5,000万円の赤字を出す月もあったという。陽一副社長にすれば魚価の相場に左右されず、原料高に苦しめられないのが目指す理想的な経営なのだ。

 「安定した収益を上げていくには、今までのように切っただけではない商品をつくってさらなる付加価値を付けていかなければなりません。商品開発が何より重要になるわけで、弊社としては開発型企業を目指していくことになります。そのため、本年度は商品開発のスタッフを3名採用する予定です」(陽一副社長)。

 現状は研究室で3名のスタッフが開発に当たっているので、同社の規模ではこれまでにない倍の6名態勢。それだけ商品開発にかける期待は大きいということだ。メインの商材は刺身になるが、卸先スーパーの店頭では冷凍食品、惣菜、塩干などのカテゴリーが加わる可能性もある。対馬の事業も設備投資が完了すれば、新たな商品開発の流れにも乗っていけるという。
 井上社長が進めてきた海外事業も、鯵という光り物への抵抗からか、引き合いはあるものの、継続的な取引ができる段階には達していない。食に対する嗜好はお国柄や民族的な保守性に影響されるが、食べて見ると意外に美味しいことから、加工や見せ方の工夫が不可欠になる。陽一副社長はまずは現地に駐在員を派遣して取り組むことが進捗させる条件とみる。また、鯵ツリーという考え方に基づき、残渣を活用した化粧品や健康食品の開発についても、将来的にはもっと広げていきたいという。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:井上 幸一
所在地:福岡市南区井尻5-20-29
設 立:1987年7月
資本金:1億円
TEL:092-593-7662
URL:http://www.jp-seafoods.jp/

<プロフィール>
inoue井上 陽一
1978年9月、福岡市出身。創価大学卒業後、2000年にシステム開発会社CSKに入社。SEとして勤務した後、07年に(株)ジャパンシーフーズに入社。大阪営業所の新設、売上伸長を果たした後、13年に副社長に就任。井上幸一社長をサポートする傍ら、SEのスキルを活かして社内システム構築にも携わる。

 
(前)

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