日台産業連携の新たな幕開け!(前)
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台湾で5月20日に民進党の蔡英文氏が第14代総統に就任してから約4カ月が経過した。蔡氏は就任演説の中で「次世代のために構造改革を推進、経済発展の新モデルの確立を目指す」と述べた。同じ月の27日には、対日関係の実務を担当する亜東関係協会の会長に台湾政界の大物、邱義仁氏が就任した。邱氏は記者団に対し、「最近の国際情勢の変化を踏まえ、台日関係は新たな段階に入る」と述べ、両国の関係強化に意欲を示した。さらに、日本大使館に当たる台北経済文化代表処の代表(大使)には知日派の大物、謝長廷・元行政院長(元首相)が起用された。
このような背景の中で、9月2日(金)、東京・大田区産業プラザ(PIO)において、主催者である台日産業連携推進オフィス(TJPO)主任、台湾経済部工業局呉明機局長を迎え、台湾最新ビジネスセミナー「最新の投資環境と日本企業進出支援」が開催された。果たして、「日台関係はどのような新たな段階に入ろうとしているのか」、東京・三田のTJPOに峯岸進・常勤特別顧問(所長)、坂井賢司・顧問(プロジェクトコンサルタント)を訪ねた。200名を超える企業が参加
――先日のビジネスセミナーは大盛況でした。台湾と言えばICT(Information and Communication Technology)というイメージが先行しますが、先日のテーマはバイオ、介護など多岐にわたっていました。
峯岸進氏(以下、峯岸) おかげさまで、セミナーは200名を超える企業の皆さんにご参加いただくことができました。企画段階では、日本の中小企業を主ターゲットとして捉え、そのために、言わば東京の中小企業のメッカともいうべき大田区の会場を選定しました。
しかし、企画が進んでいくに従い、今後台湾のICTに続く産業として位置づけているバイオやメディカル・介護(2017年には介護保険に関する法律ができる予定になっています)についてもご紹介したいと言うことになり、かなり欲張ったプログラムになりました。この分野の関心は高く、福祉や介護をイメージしていなかった大企業の皆さんにもご参加いただくことができきました。おそらく、どの大企業も既存のビジネスだけでなく、新しいビジネスの柱を求めているのだと思います。
ちなみに、5月20日に就任した台湾行政院の林全・院長はあいさつの中で、「政府は台湾の新しい経済発展モデルと方向性の先導を提起していく。イノベーションが新経済の核心的価値観である」と述べ、アジアシリコンバレー計画、バイオテクノロジー、クリーンエネルギー、スマート機械、国防・航空宇宙といった5大産業の総合的計画に焦点を絞り、イノベーション経済の基礎とすることを表明しています。
台湾政府機関各部門のリソースを統合
峯岸 今回のセミナーの目的は、日台の産業連携を引き続き促進、緊密で強固なものにしていく点ともう1つありました。それは、日本における台日産業連携推進オフィス(TJPO)の新たな始動の告知です。
TJPOは台湾行政院(内閣)において、11年12月16日、「台日産業連携架け橋プロジェクト」法案が可決したことにより、12年3月に発足しました。
架け橋プロジェクトは3つのモデルによって展開されています。1つ目は「系列深耕型」で、台湾と関係が深い日本の大企業との関係を深耕するものです。2つ目は「産業網羅型」で、指定産業(風力発電、太陽光発電、電気自動車、LED照明、半導体設備、バイオ医薬品、精密機械部品、デジタルコンテンツ、ICT関連、金物工具の10種の産業を選出)における台日連携を進めるものです。3つ目は「地方連携型」で、台湾産業と日本の地方産業クラスターや地方自治体との提携を強めるものです。主管は経済部(台日産業連携推進本部)で、TJPO台湾本部は50人規模の体制で運営されています。TJPOの主な仕事は下記の5つになります。
1.万全の推進体系とワンストップサービス(台湾政府機関の各部門のリソースを統合したプラットフォームで)の窓口を確立し、台湾と日本の産業交流、提携のための協調作業を行い、関連省庁を取りまとめて提携を実現させる。
2.台湾と日本の産業提携戦略をまとめ、重点的に発展を目指す産業を選定、その推進作業の統合をサポートする。
3.台湾と日本の産業提携案を発掘し、ケースごとの情報提供、マッチング、協力、フォロー、紹介など全方位的な提携サービスを行う。
4.「行政院台日産業連携架け橋政策協調チーム」及び「経済部台日産業連携推進チーム」の参謀的業務を行う。
5.行政院と経済部の指示する台湾と日本の産業提携に関する業務を執行する。
工業技術研究院から資訊工業策進会へ峯岸 発足してから昨年までの約4年は、日本企業への対応窓口は工業技術研究院の日本出先機関が行っていました。しかし、今年からは日本での担当窓口機関を、私たち資訊工業策進会の事務所の管轄下に置くことになりました。新政権同様、体制も新たに、さらに積極的に日本企業・自治体などの皆さんのお役に立ちたいと考えています。
また、従来は基本的にお尋ね頂いた案件の処理に留まっておりましたが、今年からは、先日のセミナー同様、私たちの方からも、台湾に関心のある企業、地方自治体、専門学校、大学などに情報を提供していきたいと考えています。(つづく)
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