2024年12月19日( 木 )

豊洲新市場の構造計算に【耐震偽装】の疑いあり!(2)~水産仲卸売場棟

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協同組合建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

2.柱脚の鉄量が必要鉄量の規定を全く満足していない
「建築物の構造規定」(日本建築センター刊、建設省監修)によれば、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の1階鉄骨柱の柱脚がピン柱脚である場合、柱脚の鉄量(鉄筋とアンカーボルトの断面積の合計)が、柱頭の鉄量(鉄骨と鉄筋の断面積の合計)と等量以上にしなければならないと定められています。この規定を、柱符号C601の1階の柱頭と柱脚に当てはめた場合、以下のようになります。

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 この規定は、柱が引張を受けた場合に、ベースプレートが上部のコンクリートを持ち上げ、変形がアンカー部に集中し、ベースプレート下に大きなひび割れが入り、その部分のアンカーボルトと鉄筋が集中的に伸びることを防止する目的の規定です。特別な実験や解析を行った場合は70%まで緩和されるケース(文献)もありますが、それ以外は仕様規定を守るべきとされています。当該建物は重要な仕様規定を無視しているのであり、構造設計担当者は、規定を上回る理論を踏まえた上で設計をしているはずなので、その理論を以って合理的で納得のいく説明をすべきだと思います。

 最も重要な最下階の柱脚に必要とされる鉄量(鉄筋量)の56%の強度しか存在しないのです。

 1階の鉄量が極端に少なく、前述のように、1階の保有水平耐力比が実質83%しかないので、最も強くあるべき肝心の1階が最も弱い建物となっており、
(上記の)56%×83%=46%(法規定の46%)
 いくら上部が強くても足元が弱く、安全性が確保できない危険な建物だと言えます。

(つづく)

※この記事は、豊洲新市場の一部である水産仲卸売場棟に関する設計図書の内、提供された資料に基づくものです。また、私が検証したものは、ごく一部に過ぎません。すべての設計図書が入手できれば、さらに検証をすることは、やぶさかではありません。

 
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