カジノ誘致に賭ける澤田秀雄社長の野望(前)~ハウステンボス(株)
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2016年12月15日、カジノを含む統合型リゾート(IR)を解禁する法案が衆院本会議で可決され、成立した。政府は、規制や依存症対策などの具体的な制度設計を盛り込んだIR実施法案を1年以内に国会に提出する。各自治体は誘致競争を勝ち抜くための準備を本格化した。
全国で最も活発なカジノ誘致活動を展開している九州最大のリゾート施設のハウステンボス(株)(本社:長崎県佐世保市、澤田秀雄社長)は、カジノを誘致できるだろうか。ハウステンボス再生の切り札はカジノだ
カジノ設置場所は、政府が希望する自治体のなかから選ぶ。自民党は当初、全国2~3カ所に限定して導入する方針だ。首都圏では横浜市の山下公園に隣接する山下埠頭と、関西圏では大阪湾の人工島「夢州」が当確視されている。第3の候補地は、政治絡みで沖縄だったが、2014年に当選した翁長雄志知事は「カジノ反対」を明言、IR誘致レースから降りた。そのため、ハウステンボス(HTB)が有力な第3の候補に浮上した。
HTBは10年4月、格安旅行会社の(株)エイチ・アイ・エス(HIS)の傘下に入った。HIS会長を務める澤田秀雄氏がHTBを引き受けた狙いはどこにあるのか。HTBをどうやって再生させるのか――。当初は、まったく見えてこなかった。やがて意図が明らかになる。カジノの誘致だったのである。
地元、長崎新聞(12年2月8日付)の報道で、HTBがカジノに取り組んでいることを知った。カジノ誘致を目指す西九州統合型リゾート研究会(会長・前田一彦佐世保商工会議所会頭)の有識者委員会は12年2月7日、第2回会合をHTBで開催した。事務局はHTB内に置く。07年に発足した同研究会は、長崎・佐賀・福岡の3県を中心とした企業・自治体約170社で組織される。
〈HTBの澤田秀雄社長の構想として、ホテルヨーロッパ内に富裕層向けのカジノを設け、家族・一般向けには園内に新たにカジノ施設を建設する案が示された〉と報じた。澤田氏は、カジノをテコにHTB再生のシナリオを描いていたということだ。
ハウステンボス内にカジノを建設する構想
HTBが、カジノ誘致の核となることが決まった。カジノ誘致活動が本格的にスタートする。
12年6月11日、同研究会の有識者委員会がカジノの具体的構想を発表した。
同構想では、HTB内の「ホテルヨーロッパ」に富裕層向けカジノ場を開設する。現在、従業員用駐車場として使われている土地に、総工費424億円で10階建てのカジノリゾートホテル(客室数1,352室)を建設し、1,300m2のカジノフロアを地下1階~2階に設ける。
日本のほか、中国や韓国、台湾など外国人観光客をターゲットに年間500万人、2,544億円の経済波及効果が見込まれ、西九州全体で1万1,000人の雇用が生まれると試算した。カジノ誘致により、HTBの年間来場者は現状(180万人)から320万人増え、うち200万人がカジノを利用すると想定。HTBはカジノ事業で年440億円の増収効果が見込め、宿泊や消費なども含めると売上高も5倍強の940億円になると弾いた。
(つづく)
【森村 和男】法人名
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