2024年12月19日( 木 )

中国で普及しているメタノール混合燃料(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 人類は、火を手に入れたことによって生活に大きな変化がもたらされたし、その後、産業革命を経験したことで、驚くべき経済発展を遂げることができた。産業革命を支えたのは、実は石炭というエネルギーであった。石炭は、後に石油が発見されたことで“エネルギーの王座”を譲ることになったが、それでも石炭は価格が石油に比べて3分の1にしかならないので、開発途上国の発電などでは依然として重宝されている。
 ところが、石炭は価格が安いというメリットがある反面、燃やすと二酸化炭素を大量に発生させてしまう。その結果、石炭は気候の変動や環境汚染などの原因とされ、石炭に対する規制が求められているのも実情である。

sekitan 全世界での石炭消費量の半分にあたる年間36億トンの石炭を消費する中国は、環境汚染で苦しめられている。中国の肺炎患者数は10年前に比べて60%以上増加するなど、中国の環境汚染の深刻さはすでによく知られている。

 発電での石炭使用以外に、環境汚染のもう1つの主要原因といえば、自動車による排気ガスである。今まで自動車会社では、自動車による環境汚染を、エンジンの改良と燃費の改善で解決しようとしてきた。ところが、自動車による環境汚染の鍵は、燃料にあるのではないかという意見もある。
 自動車の燃料は、環境汚染を起こすだけでなく、経済的負担にもなっている。燃料コストを下げると同時に、環境汚染の問題をも解決できる切り札として、自動車の代替燃料が注目を浴びている。

 代替燃料の先鋒といえば、やはりアルコール系の燃料であろう。そのなかでも代替燃料の代表格は、エタノール混合燃料とメタノール混合燃料になるだろう。

 エタノール混合燃料の場合、一時期はマスコミを賑わしたこともあるので記憶に新しいだろう。実際に「E15」(エタノールが15%入っている燃料)などは、現在、南米などを中心に複数の国家で生産・流通されている。
 ただし、エタノール混合燃料の原料であるエタノールは、トウモロコシなどから抽出されるため、食品もしくは飼料の価格を高騰させてしまう。また、トウモロコシを燃料として使うことに対する、心理的抵抗感があるのも否めない。

 それに比べて、メタノール混合燃料の原料であるメタノールは、石炭または天然ガスから抽出されるもので、原料は無尽蔵である。それに、エタノールに比べて、価格も半分以下もしくは3分1以下なので、価格的にはメタノールはエタノールより有利な立場にあることは間違いない。
 ところが、メタノールは資源が豊富で、コスト的にメリットがある反面、解決しなければならない問題も抱えており、メタノール混合燃料は今まであまり普及されなかった。

(つづく)

 
(後)

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