福岡空港出資問題、閉ざされていた議論~担当局のみの検討
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福岡空港の運営について、国が新たに委託する民間の運営会社への出資をめぐり、紛糾している福岡市議会。国交省が民間委託の方針を発表する寸前の3月になって、ようやく市民の間で出資の是非が話題になり始めたが、「情報が少なく、出資のメリット、デメリットがよくわからない」という声も少なくはない。今回も問題視されるべきは、高島市政の特徴と言える不透明な意思決定プロセスだ。
公の場で議論せずに方針決定、知らない会派も?
16日、福岡市議会の常任委員会(第3委員会)で、空港の新運営会社に“出資しない”という高島市政の方針が、担当の港湾空港局のみで検討されていたことが、委員である川上晋平市議らによる質疑応答のなかで明らかになった。方針決定までのプロセスに関する港湾空港局の説明を時系列に整理すると以下の通りとなる。
・15年6月、民間の空港運営会社に対する自治体出資の可能性がわかる。
・15年度後半から港湾空港局で部内協議を開始。
・16年1月25日、都市問題等調査特別委員会「空港運営会社の出資の是非を含めて総合的に検討」。
・16年5月30日、港湾空港局で出資しない方針を内部決定。
・16年6月7日、自民党市議団の勉強会で説明。
・16年7月、福岡空港民営化の基本スキームが判明。
・16年10月3日、高島市長が“出資しない方針”を決定。
・16年10月13日、第3委員協議会で“出資しない方針”を報告。「公の場(16年1月25日の特別委)で検討を発表しておきながら、公の場で議論をしないまま、最終的な結論に至っている。(自民党市議団は)その都度、情報をいただき、勉強を重ねて、出資するべきとの結論に至った。しかし、行政は、まったく耳を貸さず、10月13日の報告に至った。あまり説明を受けておらず、内容を把握していない会派さえあった」と川上市議は問題点を指摘。市側の説明によると、出資に関する情報提供は、自民党市議団をはじめ、公明党市議団、福岡市民クラブ、みらい福岡で、すべての会派には行われていない。さらに、同じ立地自治体である福岡県との間でも、「それぞれの自治体が独自に決めるもの」として協議を行っていないという。
福岡経済のみならず、市民生活にとっても重要な空港に関する問題が、市民、市議会のみならず、市役所組織においても一部局しか検討していなかった。川上市議は、「空港は、福岡の経済・観光にとっても重要だが、経済観光文化局の意見を聞いていない」と疑問視。市側は、出資に関する回答について国の催促があり、高島市長による方針決定に至ったという経緯も話している。出資すべきとの意見について「論理の飛躍がある」などと受け付けない姿勢の高島市長だが、自身の方針は、市長とごく一部の市職員によって固められたものに過ぎないのだ。
【山下 康太】
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