2017年度のZEH支援方針がまとまる
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経済産業省・資源エネルギー庁は13日に発表した2017年(平成29年)度の『住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業)』は、以下の通りである。
1.補助(支援)対象
ZEHとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室
内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することに
より、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とする(1)強化外皮基準(1~8地域の2015年省エネルギー基準(ηA値、 気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上でUA値 1、 2地域:0.4[W/m2K]相当以下、3地域:0.5[W/m2K] 相当以下、4~7地域:0.6[W/m2K]相当以下)
(2)再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
(3)再生可能エネルギーを導入(容量不問)
(4)再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
(5)ZEHビルダーとして登録された者により設計又は施工が行われること
(6)要件に適合した設備・HEMS(Home Energy Management System)を導入すること
(7)補助金受領後、一定期間、定期的にエネルギー使用状況の報告を行うことηA値とは平均日射熱取得率。住宅内に入る日射の割合
UA値とは外皮平均熱貫流率。一定の時間あたりどれだけエネルギーが失われるかを示した数値。
1、2地域は北海道。3地域は青森県、岩手県、秋田県
4~7地域は、上記以外の都府県。2.支援(補助)金額
(1)1戸あたり125万円(定額)を予定。ただし『寒冷地特別強化外皮仕様(1,2地域において高断熱外皮を採用し、UA値0.25以下の仕様)』については、150万円(定額:25万円分加算)とする予定。
(2)補助対象として採択されるZEHに蓄電システムを導入する場合には、上記に蓄電容量1kWhあたり5万円(上限:50万円又は蓄電システムの価格の1/3のいずれか低い金額)を加算する予定
同省では、ZEHを2020年までにハウスメーカー等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現することを掲げている。国をあげて普及・推進していく方向性を示している。
大手ハウスメーカーが中心となって、自社Webを活用した販売促進に力を入れている。エンドユーザーも東日本大震災をきっかけに、「エネルギー問題に高い関心を寄せて、環境にやさしい住環境をオーダーするケースが増加している」(戸建住宅業界関係者)とZEHの普及・推進における土壌が整いつつある。
一方で、ZEHの住宅は「間取りが限定的になり、住まい手の希望に添えないケースがある。例えば、吹き抜け、高い天井、大きな窓などは断熱性が低くなる可能性が高い。また、定量的な条件をクリアするための設備に対して、通常の住宅より高コストとなる」と述べる地元の建築設計士のコメント。さらに、供給側において「ZEHは設計図面含め、書類などの手続きが煩雑で、相応の時間を要する。小規模の工務店は、人員面で苦戦することが予想され、導入するまでの体制づくりに時間がかかる。大手ハウスメーカーは、豊富な資金力を背景に投資できるが、中小の地場の工務店は現況では厳しい」(前出設計士)とする課題も指摘されている。
いずれにせよ、今後の我が国の住宅は、エネルギー対策を講じた住環境を要求されることは不可避である。ZEHへの支援(補助金など)を強化するとともに、特に地場の中小の工務店・ビルダーへのサポートも強化しなければ、地場の業者は取り残されてしまうだろう。
【河原 清明】
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