スマホ決済はキャッシュレス社会の起爆剤に(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
支払いはビジネスが成立する上で、大切なプロセスのひとつである。支払いがスムーズに成立しないと、ビジネスの拡大は望めない。支払いの手段は歴史ともに変遷してきた。最初は貝や金属が支払いの手段として使われたりしていたが、それが金や銀などの貴金属に変わり、現在は紙幣やコインが支払いのメイン手段になっている。その後、金融機関などが発行する便利な支払い手段であるクレジットカードが加わり、現金と一緒に使われている。そして近年では、IT技術の発達とともに、スマホを活用した新しい支払い手段であるスマホ決済が登場し、キャシュレス化が進んでいる。
日本では、どの国よりも現金(キャッシュ)が多く使われている。その理由として考えられるのは、日本の紙幣は偽札のリスクが少ないこと、加盟店手数料が高いため、加盟店がそれほどクレジットカードを歓迎しないことなどである。その結果、日本では依然としてキャッシュの使用が多い。しかし、キャッシュというのは、よく考えてみるとデメリットもいくつかある。
キャッシュを持ち歩くと、なくす恐れや盗難にあう心配がある。キャッシュの場合、なくすと取り戻すのが難しい。また、支払いの際に取り出して数えるのは面倒くさい。お釣りが多いと小銭が溜まって財布やポケットが重くなるなど、キャッシュは保管や管理が大変である。そのため、スウェーデンでは半分以上の店舗でキャッシュでの支払いができないそうだ。現在韓国では支払い手段として一番多く使われているのはクレジットカードである。韓国ではクレジットカードが使えないところを探すのが難しいほどである。韓国でこれだけクレジットカードが普及しているのには背景がある。韓国では売上高をごまかして税金逃れをする店舗が多く、 韓国政府は取引情報の把握と税収確保のためにクレジットカードの普及を積極的に推進したという経緯がある。もう1つの理由は内需を刺激する必要があったからだ。キャッシュの場合は手元にお金がないと買い物ができないが、クレジットカードは手元にお金がなくても買い物ができるため、経済が活性化する。その結果、経済は確かに活性化されたものの、一方ではクレジットカードの使いすぎでカード破産が発生するようになった。
ちょうどその時期に加盟店手数料が引き下げられ、クレジットカードの普及に拍車がかかったという事実もある。クレジットカードのメリットはお金がなくてもものが買えることである。しかし使いすぎが後で問題にもなる。このような問題を解決するために登場したのがデビットカードである。銀行にある残高の範囲内で支払いができるようにしたものである。また、デビットカードとほぼ同じものがプリペイドカードである。(つづく)
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