2024年12月22日( 日 )

今村復興相激高会見正当化が目的の日経「世論調査」

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、今村雅弘復興相の激高会見とマスコミの印象操作を糾弾する、4月8日付の記事を紹介する。


 日本経済新聞元経済部長でテレビ東京副社長の池内正人氏は、2010年9月14日に実施された民主党代表選に関して、インターネット上のサイト「あらたにす」に、次のように記述した。
「大新聞が得意の世論調査をやればいい」「これが国政選挙の場合だったら、この種の世論調査は不可能だ。選挙法に触れるかもしれない。しかし一政党内の選挙ならば、規制する法律はないと思う」。
 2010年9月14日の民主党代表選は小沢一郎氏と菅直人氏による一騎打ちの代表選で、この選挙で小沢一郎氏が当選していれば、小沢一郎政権が誕生していた。日本の歴史の分岐点になった選挙である。池内氏の主張は、大新聞が得意の世論調査を実施して小沢一郎氏の落選を誘導するべきだと解釈できるものだった。

 池内氏は記事のなかで民主党の小沢一郎氏の出馬について、「仮に小沢氏あるいは鳩山氏が立候補するとすれば、重大な問題を引き起こす可能性がある。この両氏は「政治とカネ」の問題で、民主党の代表と幹事長の職を辞したばかりだ。もし当選すれば、そのまま総理大臣に選出される。特に小沢氏の場合は、首相になってしまうと検察審査会の権限も及ばなくなるという。国民は民主党の規約に口出しはできない。その間隙を縫って、一国の最高首脳が国民の手が届かないところで誕生する形になる。これは議会制民主主義の盲点かもしれない」。池内氏は小沢氏を当選させないために、「大新聞が得意の世論調査をやればいい」と述べたと推察される。これが「大新聞」とされるメディアの最高幹部の主張なのである。

 その日本経済新聞が、今村雅弘復興相の激高会見についての「世論調査」を実施している。
復興相、怒鳴るべきではなかった?

 日経の「手口」を鮮明に際立たせる好事例であるので紹介したい。日経「調査」は次のくだりで始まる。
 「第317回は、記者会見で東京電力福島第1原子力発電所の事故を巡る質問をした記者を怒鳴った今村雅弘復興相に関して、皆さんのご意見をお伺いします。今村復興相が4日の閣議後の記者会見で、記者の質問に腹を立て「出て行きなさい」と怒鳴る一幕がありました。発端は、東日本大震災や福島第1原発事故に伴い全国に自主避難した人らへの住宅の無償提供が3月末に打ち切られたことについて、記者が「路頭に迷う家族が出てくる」とした上で、国の責任を問いただしたことでした。今村氏は「国がどうこう言うよりも、基本的にはご本人が判断されること」「福島県が中心になって寄り添ってやっていく方がいいだろう」「それをしっかりと国としてもサポートする」などと応じました。
 この発言に納得しない記者は「福島県の内実とか、なぜ(自宅に)帰れないのかという実情を、大臣自身がご存じないからじゃないでしょうか。それを人のせいにするのは、僕はそれは……」と、たたみかけました」。

 紙幅の関係で結論を先に示しておく。日経調査は、中立を装っているが、細部において事実を不正確に伝えたうえで調査を行うものである。これが、大新聞が「得意」の「世論調査」の実態である。つまり、事実関係の説明において現実を「粉飾」して、回答を特定の方向に誘導するのである。
 上記の部分で言えば、今村雅弘氏が激高した部分は、「こんなね、人を誹謗するようなことは許さんよ、絶対」「うるさい!!!!!」と発言した部分である。静かに「出ていきなさい」と言ったわけではない。
 また、記者の質問について、上記表記は「と、たたみかけました」としている。「たたみかける」の表現に「恣意」が込められている。つまり、今村復興相の良識ある対応に対して、記者が良識のない対応を示したために今村復興相が激高することになったとの「印象操作」を行っているのである。

※続きは4月8日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1711号「今村復興相激高会見正当化が目的の日経『世論調査』」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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