中国の進める現代版シルクロード戦略「一帯一路」サミットの行方(後)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、5月12日付の記事を紹介する。
東南アジアや南アジア諸国にとっては、中国の軍事的な動きは懸念材料となってはいるものの、中国が得意とする「札束外交」とも揶揄される経済援助や世界最大の人口を抱える市場の潜在的魅力にはあらがうことができない。軍事的衝突を繰り返したベトナムですら、中国との政治、経済的対話の道を慎重に模索しているのも、そのためであろう。フィリピンのディトルテ大統領がアメリカを見限り、中国との関係強化に舵を切ったのも、チャイナ・マネーの威力のなせるワザに他ならない。
互いに国際的な非難を浴びることがあるものの、それゆえにこそ、中国とロシアは、かつてないほど強力に依存関係を深めつつあるわけだ。習主席とプーチン大統領の相互依存関係は資源開発やテロ対策を主眼とする「上海協力機構」に止まらない。中央アジアのインフラ整備に始まり、エジプトの首都移転計画やアフリカ、中東地域においても同様の動きが進んでいる。
プーチンは「ロシアと変貌する世界」と題する論文の中で、「中国との連携を軸にシリア情勢、イランや北朝鮮の核問題など、欧米とは一線を画す」姿勢を鮮明に打ち出している。
要は、プーチン大統領は、崩壊した旧ソビエト連邦を自らの手で蘇らせたい、との歴史的野望を秘めているのである。「ソ連崩壊は20世紀最悪の地政学的な悲劇だった」と主張して止まないプーチン。「ユーラシア同盟」の名の下で旧ソ連の復活を模索している。「中国の夢」と称して、4000年、時には5000年の歴史を背景に、中華思想を実現しようとする習近平の路線と共通する部分が多いのも当然であろう。
実際、上海協力機構においては、中国とロシアが旧ソ連邦の中央アジア諸国を含め、テロ対策や安全保障の面から地域の安全と発展を進める動きに加え、ユーラシア同盟との連携も視野に入ってきている。インドやベトナム、モンゴルなども組み込み、合同の軍事演習や資源開発、インフラ整備プロジェクトが相次いで始まりだした。残念ながら、こうした動きに日本は全くと言っていいほど食い込むことができない状態が続いている。それだけロシアや中国の動きに疎いのが日本なのである。
※続きは5月12日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第64回「中国の進める現代版シルクロード戦略「一帯一路」サミットの行方(後編)」で。
著者:浜田和幸
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