元「鉄人」衣笠氏が斬る！～セ・リーグ各チームの状況（後）

　巨人は、３位にいて「負け越すかな？」と思うと、５割の線に戻す。「チームがガタガタとなるかな？」と思うと誰かが助ける。さすがに名門チームだ。地力があるのだろう。

　阿部選手が少し疲れてきた。坂本選手にも疲れが見えるか。長野選手がここに来て、少しずつ打ち始めた。こんなチームだ。
　今期期待していた立岡選手、中井選手も、必死に頑張っている。とはいえ、まだまだ大活躍というところまでは来ていない。でも、何とかチームの役に立とうとしている姿は見える。この苦しい経験が、これからの中盤、後半に役に立つような気がする。
　すっかり代打としてポジションを固めた亀井選手と、トレードで来た石川選手が、新しい風を吹き込もうとしている。相手チームからすると、違ったタイプの選手。戸惑うだろう。

　投手陣も困っている。期待していた内海投手が、なかなか調子が出ない。自分のペースに乗れないというところだ。私の見るところでは、ストレートの走りが思うようにならないから苦しんでいる。もっと内角にストレートを見せるべきだろう。怖がっているね。小林捕手も、ストライクを投げるのが怖いのならば、ボール球を投げさせればいいと思う。
　大竹投手もときどき素晴らしい投球を見せるが、毎度というのは少し辛くなってきた。マイコラスもイマイチ乗れない前半だったが、外国人投手は体力があるから、これからが怖い投手だと思う。

　問題は、澤村投手、山口投手がいつ帰ってくるか。田口投手が自信をつけて来ただけに、材料は出てきている。
　３位の巨人の存在は、上位２チームにとっては安心してはいられない、怖い存在だ。

　さぁ、昨年は順調に伸びて来たDeNA。今年は、悩みがまた出て来たのかな。アイディアが豊富なのはいいのだが、機能してこそのアイディアであり、８番投手、９番投手、指名代打ではうまくいっているが、「９人制では？？」と思うことが続いている。

　２番強打者論も、セ・リーグでは「どうなの？」ということをときどき感じる。ただ、新しいことに取り組もうとしていることは、多少チームに馴染もうとしているのだが、まだ本物になってないところだ。交流戦ではどう出るかな？

　ここも問題は先発投手だ。相変わらず井納投手が良かったり、悪かったり、石田投手が故障で今永投手に頼らざるを得ない状況だ。濱口投手には、まだ荷が重いかな。外国人投手がどこまで頑張ってくれるかが、後半戦の成績に強く影響するという感じだろう。

　とすると、筒香選手の打撃がどこまで復活するか。ロペス選手が良いだけに、筒香選手の１日も早い回復が待たれる。
　あとはもう１人、梶谷選手のポジションだろう。何か落ち着かないように見えるのだが、性格かな？
　石川選手も良い選手だ。ただ、疲れがくるとポカをやるが…、

　５位のヤクルトを見ていると、ケガ人が治って来て、優勝した2015年を思い出す。

　この年は、８月まで他チームとそんなに違わない戦いをしていたのだが、故障者が治り、メンバーがそろって迎えた９月になった途端に、20試合を13勝６敗１分、というスパートを見せて優勝した。２位になった巨人が10勝８敗で追いつけず、逃げ切られたという感じだった。だから、ペナントレースが強かったという感じがまったくしないのだ。

　今年も川端選手がいない試合が続き、畠山選手がいない。後半、きっと帰ってくるような気がするだけに、何となく「怖いな～」と、そんなチームに見えるのだが…。

　石川投手、小川投手が元気な今年は、なおさらそんな気がするが、この交流戦で、どの位置で終わるか。あまり差が広がると、さすがに苦しいだろう。反対に、広がらなければ要注意だ。

　現在最下位の中日を考えると、苦しい状況だ。何度か書いているが、今年の優勝の可能性を考えると、外国人選手のゲレーロ選手、ビシエド選手が考えられないぐらいの打棒を見せれば、なくはないだろう。打線というものは、好調な選手に引っ張られる傾向があるため、この２人が今日から突然打ち始めると、大島選手、平田選手、堂上直選手、新人の京田選手、あわよくば捕手までもが打ち始めることだろう。打線というものは、そんなものだ。

　ただ、問題の投手陣を考えると、打線のようにはいかない。１人が引っ張っても全員ということにはならず、連敗をしないという現象は見られるが、連勝がいつまでも続くということは難しいと思う。むしろ今年は、若い投手に経験を積ませる、吉見という投手の投球をしっかりと教える時間にしたいと思う。
　何としても大野投手の再生だ。この投手が勝てないということが不思議である。その原因を、コーチを含めて考えることから始めたいと思う。小笠原、鈴木、若松、この３人には、徹底的に教育したいと思う。

　中日は、もともと投手の良いチームだった。ここに来て、急に悪くなるはずはない。どこかで考え方がズレたのだろう。早い時期に治したいものだ。

　交流戦の18試合は、あっという間に始まり、終わる。どんな夢を見られるか。それとも、悪夢になるか。始まってしまえば、目が離せない日々が続くことだろう。

（了）

2017年５月27日
衣笠　祥雄